こんにちはエンタメ考察室です。
蟲柱・胡蝶しのぶは華奢で小柄な女性ながら柱の1人として鬼殺隊を支える人物です。
主人公の炭治郎が水柱・冨岡義勇に続いて出会った柱ですよね。
当初は優しい語り口で鬼と和解しようとする発言が印象的でした。
ですが物語が進むにつれその笑顔の下にたくさんの苦しみや葛藤を抱えていたことが分かっていきました。
無限城での童磨戦では小さな体にひどい傷を負わされながらも懸命に戦う姿に涙を誘われましたよね。
今回はそんな胡蝶しのぶについて考察していきたいと思います。
また浅葱斑という蝶が胡蝶しのぶの模範として使われている理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
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1.胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶは蝶の髪飾りと蝶の羽のような形姿が特徴的な羽織を身につけています。
この羽織は同じく鬼殺隊の柱だった姉・胡蝶カナエの形見です。
蝶の髪飾りは継子である栗花落カナヲ、蝶屋敷に住む女の子たち全員とお揃いのようです。
「公式ファンブック」によると普段の髪型は夜会巻きで下ろすと鎖骨くらいの長さだそうです。
薬学に精通しており鬼の数少ない弱点である藤の花の毒を作り出しました。
頸を切らずに毒殺という手段で鬼を倒す唯一の柱です。
怪我をした鬼殺隊士の治療もできる上に善逸曰く
とあれば隊員にとってはまさに女神のような存在でしょう。
そんな一見人当たりが良いしのぶですが実は毒舌な一面もあります。
と言いながら説明もなしに禰豆子を庇う冨岡義勇に
とはっきり告げていましたよね。
義勇の
という反撃にも
と応戦していました。
しかもこの間ずっと笑顔を崩さないのが逆に怖いですよね。
当然真剣に怒るととても強くあの野生児の伊之助が真っ青になって正座しながら怯えるほどです。
「公式ファンブック」では本人は決して認めないが実は天然と紹介されていました。
飼っている金魚に丸々と育つようにとフグと名付けたり、恋柱・甘露寺の恋愛相談に心拍数が云々など医学論文のような返事をしていたそうです。
カナエの死後14歳で蝶屋敷を継いでからは身寄りのない鬼殺隊の女の子たちの姉代わりとして愛情を持って面倒を見ていました。
そのためか善逸や伊之助の性格を見抜きそれぞれに合った言葉で奮起させるなど後輩の指導も得意のようです。
2.鬼殺隊に入隊した経緯
胡蝶しのぶは薬の調合で生計を立てていた両親のもと姉のカナエとともに平穏に暮らしていました。
小説版「片羽の蝶」によると両親は勤勉で誠実、姉妹を心から愛していたようで仲の良い幸せな家族だったのでしょう。
ある日家が鬼の襲撃に遭い両親は殺されて姉のカナエとしのぶだけが生き残ります。
この時に命を助けてくれたのが岩柱の悲鳴嶼でした。
隠たちの手で親戚の家に送られる際、鬼のことや鬼殺隊のこと数は少ないが女性の剣士もいることなどを聞き出したそうです。
これをきっかけにまだ壊されていない誰かの幸福を守りたい自分たちのような人を少しでも減らそうと姉とともに鬼殺隊に入隊することを決意します。
姉妹揃って悲鳴嶼の邸宅を訪れ鬼の倒し方を教えてほしいと頼み込みました。
悲鳴嶼は当初、姉妹のような幼い子どもが鬼殺に関わることを反対しており親戚の下で安全に暮らし普通の女の子として過ごすのが幸せだと諭します。
この頃は幼く気の強かったしのぶは反発することもあったようです。
結局は悲鳴嶼が与えた試練を姉妹が乗り越えたことにより育てを紹介してもらったのでした。
最終選別も無事に突破し晴れて鬼殺隊員となります。
このころから悲鳴嶼はしのぶの体格の小ささを理由に鬼殺隊の任務には向いていないと思っていたようです。
一方しのぶに比べて背が高く体格に恵まれていた姉のカナエはしのぶよりも先に柱になります。
カナエは優しい性格で鬼に対しても同情心を持ち救おうとする珍しい価値観のある柱でした。
ですが上限の弐・童磨に殺されてしまいました。
唯一の肉親で最愛の姉であるカナエを失ったしのぶは一層、鬼への仇討ちの決意が強くなったのではないかと思います。
3.呼吸・強さ
胡蝶しのぶは花の呼吸から派生した蟲の呼吸を使います。
先述の通り体格や腕力で不利なしのぶが自分なりの方法で鬼と戦うために生み出した独自の呼吸です。
技の数え方も独特で他の呼吸のように「何々の型」ではなく「何々の舞」としています。
毒で刺すことが肝要になるため日輪刀もかなり特徴的です。
形はとても細長く鞘の部分で毒の調合を変えられるようになっています。
刀鍛冶の里で最も技術の高い長・鉄珍さま特製です。
腕力は鬼殺隊の柱9人中最も弱いとはいえ那田蜘蛛山編では村田が閉じ込められ全く破れなかった硬い「溶解の繭」を簡単に破って助けてあげています。
これには村田も驚いていましたね。
村田は男性であり階級は10段階中7番目の庚で最終決戦でも生き残っていることからそれなりの力があるはずです。
その村田が破れなかった繭をあっさり破壊できるということは弱いとはいえそれは他の柱と比較しての話であり一般男性よりは強い可能性が高そうです。
特に突きの筋力が突出して優れておりその速さは水の呼吸で最速の突き技・雫波紋突きよりも速いと単行本16巻の扉絵にて明かされました。
上弦の弐・童磨もこの速さにはついてこれず今までの柱の中で1番かもと言わしめました。
生家の影響もあり薬学にはとても精通していて負傷した鬼殺隊の医者のような役割も果たす貴重な存在です。
善逸のようにしのぶの治療がなければ命が危なかった隊員も多いのではないでしょうか。
「公式ファンブック」によると炎柱・煉獄からは
「不利な体格をものともせず戦う!」
と評価されていました。
自分の弱みを知りつつも戦う意思を貫く精神力を感じますよね。
また蛇柱の伊黒と体術の話をするなどして研鑽していたようでした。
自分の持つ知識を最大限生かす聡明さに加え血の滲むような努力で磨いた体術が強さの秘密ではないかと思います。
4.心情の変化
胡蝶しのぶにとって姉・カナエの存在はとても大きく姉を失った後はなんとか姉の代わりを務めようと努力していたようです。
カナエが生きていた頃のしのぶは見るからに生真面目という感じで険しい表情をしている描写が目立ちます。
おっとりして人当たりの良い姉とは対照的で怒りっぽい印象でしたよね。
後に引き取って継子になるカナヲを身売りのために引き連れていた商人にも挑戦的な態度をとっていました。
自分よりも体格の大きな相手にも物怖じせず間違っていると思ったことははっきりと主張するところは真面目で気の強い優等生のようです。
人のために自分の身を顧みずに怒れる危うい優しさは炭治郎と禰豆子に通じるところがあります。
炭治郎の回想で殺された弟の竹雄は
怒ると怖い人のために怒る人は
自分を省みないところがある」
と心配していました。
こういう危うさはしのぶも持っているのかもしれませんね。
引き取ったカナヲがなかなか自己主張しないことをとても心配していました。
自分で決められないならコインで決めればいいという楽観的なカナヲをたしなめていましたよね。
正義感が強く神経質というか物事を杓子定規に捉えがちだったのかも知れません。
こうでなければならないという思いが強いように見えます。
今でこそ義勇たちには
と言います。
しかしカナエが亡くなる前は鬼への嫌悪感も隠そうとしていなかったのではないかと考えられます。
そんなしのぶにカナエは笑顔のほうが好きと伝え妹の心をほぐそうとしていたようです。
そのためか、しのぶはカナエの葬儀の後、努めて笑顔を絶やさないようにしていました。
カナエの遺志を継ぐ想いもあってか登場したばかりの時のしのぶは鬼に対しても優しく話しかけていましたね。
話し方や穏やかな表情などカナエに似せようとしているようにも見えます。
那田蜘蛛山編では姉役の鬼の命乞いにも同情しています。
しかし命を助ける見返りとして残酷な罰を与えそれに耐えられたら助けてあげますと言っています。
善逸が言っていたしのぶから聞こえる不思議な音は心の奥底にある抑えきれない鬼への憎しみと姉のように優しくあらねばという矛盾や葛藤から来ているのかもしれませんね。
カナエの仏壇の前で感情の制御ができないのは未熟者だと自分に言い聞かせている場面があります。
辛い時や鬼への憎しみで心を支配されるたびにこんな風に必死に自分を制御していたのかと思うとなんとも健気で泣けてきますよね。
「公式ファンブック」によると慧眼の悲鳴嶼からは無理をしがちと見抜かれていたようです。
作中でも鼻が効く炭治郎に内面に押し殺していた怒りを指摘されていました。
またしのぶの姿が描かれた単行本6巻の背表紙には紫色の芍薬が描かれています。
この花言葉は
でありこれは鬼に対する内に秘めた黒い感情を示唆しているのではないでしょうか。
柱稽古のあたりからカナヲに姉の死について打ち明けこれまでの笑顔とは打って変わり真剣な表情を見せるようになります。
また最終決戦では怪我をしたカナヲに対し伊之助が
すげー怒るからなアイツ」
というなど慕われつつも恐れられていたのが分かりますね。
無理に笑顔を取り繕うのをやめ、しのぶ本来の姿を素直に見せられるようになってきたのではないでしょうか。
厳しさと優しさの調和が取れるようになってきているように見えますね。
そして鬼に対しても考え方が変化しているようです。
今までは憎悪を抑え込みカナエのように鬼にも優しくあろうと自分の意思に反して無理をしていました。
しかし禰豆子や珠世との出会いでカナエの影響ではなく自らの意思で鬼への考え方を改めるようになったのではないかと思います。
炭治郎が裁判にかけられた柱合会議で禰豆子は不死川に刺され腕を差し出されても強い意志で誰も襲いませんでした。
そんな禰豆子を見て考えが変わっていったのかもしれません。
禰豆子を優しく部屋に招き入れ飼っている金魚を見せてあげたりしています。
他の蝶屋敷の女の子たちと同じように可愛がっていたのではないでしょうか。
また「大正コソコソ噂話」の一コマでは珠世との共同研究での様子が描かれています。
最初は鬼である珠世への憎しみを愈史郎に見抜かれ不穏な空気が漂っていた模様でした。
しかし珠世の豊富な医学知識や清らかな人柄に考えを改めるようになったのでしょう。
共同研究が終わる頃には
と言うようになりました。
あれほど憎んでいた鬼という存在を認めるようになったことがわかります。
珠世のことを敵ではなく無惨を倒すという共通の目的を持った仲間と思うようになったのかも知れませんね。
そしてついに最終決戦では上弦の弐・童磨と対戦します。
カナエは童磨に致命傷を負わされるものの朝日のおかげで喰われずに済みしのぶに遺言を残しています。
このときに敵がどんな鬼なのかを聞いていたしのぶはすぐに童磨が姉の敵であることに気づきました。
鬼に対して見せていた優しさをかなぐり捨て憎しみを隠そうとせず特製の毒矢、渾身の突き技で奮闘します。
しかし上弦の弐である童磨には今までの鬼に使っていた毒が通用しません。
力尽きるまで戦いますが最後は童磨に吸収され死亡してしまいます。
この戦いで姉と比べ不利な体格や頸を斬れないことをずっと劣等感として思っていたことが分かりました。
体格が大きい悲鳴嶼を羨ましがるなど柱の中で自分は力不足であると常に感じていたのではないでしょうか。
実際には小柄で華奢な体格を活かし速さもある技を磨いたりそれまで誰も成し得なかった藤の花の毒を開発するなど柱の名にふさわしい活躍を見せています。
しかし心の中では亡き姉と自分を常に比較してしまっていたのかも知れません。
姉が死の間際に言いかけた
あの鬼に負ける」
そう言いたかったのだろうと思っています。
しのぶにとって姉は敬愛するとともにかなわない存在だったのでしょう。
両方と対戦した童磨には
などと言われますが肺もあばらも斬られてなお立ち上がりさらに技を仕掛ける悲壮さは見ていて痛々しいほどでしたよね。
ちなみにしのぶの模範に使われている蝶は浅葱斑という毒蝶によく似ています。
浅葱斑とは体に毒をため込む性質を持つ蝶です。
自分が藤の花毒を摂取することで命がけで毒を摂取させた童磨戦を示唆していたのではないでしょうか。
この仮説が正しければワニ先生の中ではしのぶが初登場した時からしのぶの最後は決まっていたのかも知れませんね。
まとめ
自らの命を投げ打ってでも必ず姉の敵を倒すという覚悟で戦いに向かった胡蝶しのぶ。
自分のことよりも人のことを優先してしまう人物が多い「鬼滅の刃」の中でも究極の自己犠牲を見せましたよね。
亡くなった後は満面の笑みで愛する家族のもとに還っていく姿が描かれています。
天国では心からの笑顔で過ごしているに違いありません。
しのぶは頑張ったと思う!
しのぶの最後に涙してしまった!
と思った人は次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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