鬼滅の刃

【鬼滅の刃】猗窩座の人間時代を徹底考察!

『鬼滅の刃』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 

質問者
上弦の参・猗窩座の人間時代がどうだったのか教えてください。

 

こんにちはエンタメ考察室です。

猗窩座は炭治郎が初めて対峙した上弦の鬼であり煉獄さんの敵でもある因縁の相手です。

ひたすらに強さを追い求める武人のような印象がある猗窩座ですがその背景にある壮絶な過去には心が動かされましたよね。

今回はそんな猗窩座の強さや性格について解説していきたいと思います。

また煉獄さん鬼に勧誘した理由や炭治郎が放った

「卑怯者」

という言葉に過剰に反応した理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。

 
 
 

※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

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1.猗窩座

上弦の参・猗窩座は紅梅色の髪と全身に刻まれた青い線のような模様が特徴的な鬼です。

作中で初めて登場した上弦の鬼であり鬼殺隊最強の柱である炎柱・煉獄杏寿郎と激闘を繰り広げました。

上弦の中でも古参で鬼舞辻無惨が追い求めている「青い彼岸花」の探索にも携わっているなど側近の中で「核」となる部分に関わっていたものと思われます。

また後述する人間時代の影響から決して女性を喰らわず殺すこともありませんでした。

「公式ファンブック・弐」によれば女性を襲わないことについて無惨にたびたび嫌味を言われてはいたようですが実質的に許容されていたことが明かされています。

「青い彼岸花」の探索を任されていたり独善的な性格の無惨が特別扱いをしていたりといった様子から上弦の中でも無惨の信頼が厚い鬼だったと言えるでしょう。

最終決戦では炭治郎、水柱・冨岡義勇と死闘を繰り広げ頸を斬られても再生するなど最強の鬼である鬼舞辻無惨に近い進化を遂げました。

しかし死の淵で人間時代の記憶を取り戻したことで心が解放され自壊しました。

強さに対する執着を持っており強者を讃え弱者を異様なまでに嫌悪しています。

柱などの実力者に対しては例え相手が人間であってもその技術を素直に称賛し笑顔で語りかけるなど好意的に接していました。

これは煉獄杏寿郎や冨岡義勇鬼に勧誘していることからも分かります。

弱者に対しては

「虫唾が走る
反吐が出る」

と吐き捨てるように接し一貫して忌み嫌っています。

初登場時には負傷して倒れていた炭治郎を

「話の邪魔になりそう」

という理由だけで真っ先に殺そうとしていましたよね。

一方で上弦としての位が上である童磨のことはあまり快く思っておらず馴れ馴れしく絡んできた童磨の顔面を無言で殴るなど辛辣な態度をを取る姿がありました。

上弦の市・黒死牟に

「度が過ぎる」

いさめられた際には素顔に言うことを聞いており一目置いているような様子が伺えます。

「公式ファンブック・弐」では童磨が視覚共有などを用いて必要以上に接触してくることを疎ましく感じた猗窩座が無惨に抗議したという逸話も語られていました。

このことから必ずしも強者を讃えるわけではなく猗窩座なりの基準が垣間見えます。

たとえ敵であろうと強者と認める姿から一見すると武人らしく清々しい性格をしているように思えます。

しかし実際はあれほど熱心に勧誘していた煉獄さんを指して

「あれ以上強くなれなかったかもしれないし
あの夜死んでよかった」

と発言するなど本質的には鬼特有の自分勝手さを持ち合わせていると言えるでしょう。
 

2.強さ

猗窩座は上弦の参であり強者揃いの上弦の中でも上位に入る実力者です。

鬼としては珍しく武器や遠距離型の血鬼術に頼らない徒手空拳での戦闘を得意としています。

血鬼術の「破壊殺」は極限まで鍛えた肉体で爆発的な打撃を与える技とされ肉弾戦を好む猗窩座らしい血鬼術と言えるでしょう。

「破壊殺」には拳のみならず蹴り技を主体とする「脚式」や広範囲に衝撃波を与える「砕式」といった多彩な技が存在します。

中でも百発の乱れ打ちをほぼ同時に放つ破壊殺「終式・青銀乱残光あおぎんらんざんこう」の威力は凄まじく水柱・冨岡義勇の最大の防御技である「拾壱ノ型・凪」を持ってしても相殺し切れませんでした。

そんな「破壊殺」の最重要とも呼べる技が「破壊殺・羅針」ではないでしょうか。

「羅針」は術式展開と呼ばれる陣を発動することで相手の闘気を感知する技です。

これにより猗窩座は敵の行動や位置を正確に把握し多方面からの攻撃に即座に対処することができるようになります。

その精密さは炭治郎が磁石や戦いの羅針盤と例えるほどでした。

強さへの執着心から頸を斬られても生き長らえ頸を失った胴体から頭部を再生するという驚異的な進化を遂げました。

作中に登場した鬼の中で日輪刀で頸を斬られても消滅しなかったのは無惨と黒死牟そして猗窩座の三人だけです。

結果だけ見れば人間の頃の記憶を取り戻して猗窩座が自壊したことで炭治郎は勝利することができました。

しかし炭治郎も義勇も体力の限界を迎えていたので仮に猗窩座の記憶が戻らなかった場合、勝っていたのは猗窩座だったのかも知れません。
 

3.狛治と猗窩座の共通点

人間時代の名前は狛治といい病弱な父親との二人暮らしでした。

貧しかった狛治は父親に薬を届けるために掏摸スリを働いては何度も捕まっており度重なる刑罰によって体には罪人の証である刺青いれずみが刻まれています。

やがて我が子が自分のために罪を重ねている現場に責任を感じた父親が自害し狛治は自暴自棄に陥ってしまいました。

そんな狛治の暴走を止めたのが「素流」という格闘道場を開いている慶蔵です。

慶蔵は腕っぷしひとつで狛治を制しただけでなく罪人である狛治を自分の道場に招き入れる懐の深い男でした。

慶蔵のもとで世話になるうちに狛治は慶蔵の娘・恋雪と親密になっていきます。

やがて二人は恋仲となり恋雪がずっと見たがっていた花火の下で夫婦の契りを結びました。

しかしそんな幸せもつかの間、恋雪に思いを寄せていた剣術道場の跡取りによって慶蔵と恋雪が毒殺されてしまいます。

父親に続きまたしても大切な人を失ってしまった狛治は再び自暴自棄になり怒りに任せて剣術道場の67名を素手で惨殺しました。

その後無惨と出会い鬼の道へと進みます。

猗窩座には鬼になってからも人間時代の出来事や思いの影響が見られています。

外見で言えば全身に刻まれた青い線のような模様です。

これは猗窩座が父親に薬を届けるために罪を犯し捕まったことで刻まれた刺青の名残ではないでしょうか。

また紅梅色の頭髪は恋仲だった恋雪が着ていた着物の色によく似ていますよね。

人間時代は黒髪でしたので鬼になる時に無意識のうちに恋雪を思い浮かべていたのかも知れません。

強さを求め弱者を嫌悪する性格についても父親や慶蔵・恋雪といった大切な人の命が失われたことを自分の弱さのせいだと感じているためではないでしょうか。

最終決戦で恋雪の幻影と再会した猗窩座は

「守れなくてごめん
大事な時にそばにいなくてごめん
約束を何ひとつ守れなかった」

と繰り返し謝っています。

鬼になって人間の頃の記憶が消えてもなお

「あの時自分にもっと力があれば」

という後悔と自己嫌悪の気持ちだけが鬼になってからも残っていたのではないでしょうか。

そして

「今度こそ約束を守りたい」

という思いが異常なまでの強さへの執着に繋がったと考えられます。

「公式ファンブック・弐」では猗窩座が人間と話すことを好み殺す相手でもしばらく話しかけ相手のことを知った上で拳を振るっていたことが明かされました。

これは人間だった頃に病床に伏していた恋雪と交わした他愛ない会話が恋雪の心の支えになっていた名残ではないでしょうか。

作中で恋雪は

「狛治さんとのささいなお話で私
嬉しいことがたくさんありました」

と語っています。

狛治は

「病気で今年
花火を見に行けなかったとしても
来年…再来年見に行けばいって言ってくれた」

というように当たり前のように未来について語っていました。

このことが病弱だった恋雪に生きる意志を与えていたと考えられます。

自分の言葉が大切な人の力になっていたと言う思いが猗窩座をお喋りにしたのではないでしょうか。

また童磨によれば猗窩座は決して女性を喰らわず殺すことすらしなかったそうです。

これは恋雪という生涯を誓い合った女性が汚してはならない大切なものとして明かさの心の奥底に存在していたためだと思われます。

猗窩座は何気ない言動の中にも人間時代の記憶が影響していると思われる描写が存在しています。

例えば猗窩座は煉獄杏寿郎を鬼に勧誘する際、鬼の再生能力の素晴らしさを強調していました。

もちろん永遠に鍛錬に励むことができるという意味合いが大きいと考えられますが父親や慶蔵・恋雪といった大切な人を早くに亡くしている背景を踏まえると

「病気をしないしどんな怪我をしても死なない」

という理由が大きいのではないでしょうか。

気に入った相手を鬼に勧誘する行動そのものも人間時代の記憶が反映されていると考えられます。

作中では上弦などの力を持った鬼が人間を鬼に変える描写が何度か描かれています。

しかしある意味鬼から最も遠い存在といえる柱にまで積極的に声をかけていた鬼は猗窩座だけだと思います。

一見すると無謀にも思える勧誘に臨む姿は罪人である狛治をわざわざ道場に勧誘した慶蔵の姿と重なります。

猗窩座は無意識のうちに師匠である慶蔵の行動をなぞっていたのかも知れませんね。

また煉獄杏寿郎との戦いから逃亡した猗窩座を炭治郎が追い立てる場面では炭治郎の

「卑怯者!!」

という言葉に対して猗窩座が過敏に反応しているように見えます。

単純に武人的な性格をしている猗窩座の矜持きょうじを傷つけただけかも知れませんが見方を変えれば大切な人を毒という卑怯な手段で殺された過去を想起したためとも受け取れますよね。

つまり大切な人を奪った卑怯者と同じ扱いを受けたことに対する怒りだったのではないでしょうか。

作者のワニ先生によれば猗窩座の戦闘様式には人間時代の思い出が反映されているそうです。

「青銀乱残光」といった技の名前はすべて花火の名前です。

恋雪と狛治はたくさんの花火の下で将来を誓い合った思い出がありましたよね。

さらに術式展開を発動する際の構えは師匠である慶蔵が教えていた「素流」の構えであり雪の結晶のような陣は恋雪が身に着けていた髪飾りと同じ形です。

猗窩座の技の中でも特に強力なものとして相手の闘気を感知する「破壊殺・羅針」が挙げられます。

相手がどこにいても必ず位置を把握して対処する羅針の能力は人間時代に自分の目の届かないところで大切な人を二度も失ってしまったトラウマから生まれた能力なのではないでしょうか。

このように猗窩座には節々で人間時代の逸話を想起させる描写が多く描かれています。

鬼の中では珍しく自分の縄張りを持たない鬼と言われる猗窩座ですがもしかしたら人間時代に帰る場所を失くしたことに由来しているのかも知れません。

そう考えると死の間際に慶蔵や恋雪の幻影と再会したことで幸せだった日々の記憶を取り戻した猗窩座はやっと帰るべき場所を見つけることができたのかも知れませんね。
 

4.猗窩座の最期

炭治郎と死闘を繰り広げついには頸という弱点すらも克服した猗窩座ですがその最期は自ら崩壊するという予想外の結末を迎えました。

作中全体を通して見ても「自死」を選択しそれを自ら実行に移した鬼は猗窩座だけではないでしょうか。

ここではなぜ猗窩座が自ら死を選んだのかその心情について考察していしたいと思います。

結論

猗窩座は過去への後悔から強さを渇望していましたが炭治郎との戦いの中で大切な人たちに許されたことで心が解放され人間として散っていった

のではないでしょうか。

理由を述べていきます

理由の1つ目は猗窩座が強さに執着する根底には過去への後悔があることです。

猗窩座の回想にはかつて大切な人々との間に交わした三つの約束が登場しました。

1つ目は亡くなった父親の

「真っ当に生きろ
まだやり直せる」

という遺言です。

二つ目は師匠である慶蔵の「守る拳」という教え

そして三つ目が恋雪と将来を誓い合った時に交わした

「誰よりも強くなって
一生あなたを守ります」

という約束です。

慶蔵のもとで更生し恋雪という伴侶ができたことで真っ当な人生を歩み始めていた猗窩座でしたが慶蔵と恋雪が毒殺されたことで自暴自棄となり怒りのままに大勢の人の命を奪ってしまいました。

戦いの最中、猗窩座は不屈の精神で立ち上がる冨岡義勇や刀が握れなくなっても素手で戦い続ける炭治郎を師匠である慶蔵の姿と重ねています。

そして父親を亡くして自暴自棄になっていた自分を変えてくれた慶蔵の

「生まれ変われ」

という言葉を思い出しました。

自分が強くなりたかったのは父親や恋雪との約束を守るためであり自分が本当に殺したかった「弱者」とは大切な人が亡くなる時に傍にいられず「守る拳」であるはずの「素流」の技で人を殺めてしまった未熟な自分だということに気付いたのではないでしょうか。

以上の点から猗窩座が異様なまでに「強さ」に執着していた根底には大切な約束を守れなかったふがいない自分への後悔があると言えるでしょう。

理由の二つ目は猗窩座が葛藤の末、人間の心を取り戻したことです。

本当に殺したい相手が自分自身だと悟った猗窩座は自らの肉体に滅式を打ち込み自死しようとします。

しかしそんな猗窩座の心情とは裏腹に鬼の肉体は再生を止めず更なる強さを求めて戦い続けようとしていましたよね。

この時猗窩座の中では

「もう十分だ」

という人間の心と

「強くならねば」

という鬼の心の両方が存在していたのではないでしょうか。

死の淵に立った猗窩座は人間の狛治として精神世界で父親と対面し「真っ当に生きる」という遺言を守ることができなかったことを告げます。

そしてそっと頭を撫でた父親は狛治にとってもう1人の父と言える慶蔵の姿へと変わりました。

二人の父親に懺悔し許された狛治でしたが次の瞬間無惨に髪を掴みあげられて鬼の姿に引き戻されてしまいましたよね。

恐らくこの無惨は猗窩座の鬼の部分つまり約束を果たせなかった後悔が具現化したものではないでしょうか。

「強くならねば許されてはいけない」

という猗窩座の自責の念が鬼の世界へと引き戻したと考えられます。

再び鬼と化した猗窩座の頭を恋雪がそっと持ち上げ

「ありがとう
もう十分です」

と告げると猗窩座の姿は鬼から人間に戻りました。

猗窩座にとって最も守りたかった人物である恋雪に許されたことで猗窩座は自身の中にあった後悔や罪悪感といった負の感情から解放されたのではないでしょうか。

人間の心を取り戻した猗窩座が「強くならねば」と再生を続ける鬼の心を静めたことで猗窩座の肉体は崩壊していったと考えられます。

以上の2点から猗窩座は過去への後悔から強さを渇望していましたが炭治郎との戦いの中で大切な人たちに許されたことで心が解放され人間として散っていったと考察してみました。

また「公式ファンブック・弐」に掲載された各呼吸の斬られ心地インタビューに登場した狛治の側には恋雪にそっくりな女性が佇んでいます。

仮にこの女性が恋雪だとするならば鬼殺隊に斬られたわけでもない恋雪の姿があるのは不自然ではないでしょうか。

単に狛治と二人で登場させただけかも知れませんが見方を変えれば恋雪も狛治と一緒に地獄へ落ちた可能性が考えられます。

たくさんの人を殺めた狛治とは違い罪を犯していない慶蔵と恋雪は天国で過ごしていたと思われます。

これは幻影として登場した慶蔵が

「天国には連れて行ってやるねぇが」

と言っていることからも分かります。

狛治の罪を認め全てを受け入れた恋雪は

「おかえりなさい
あなた…」

と声をかけていました。

もしこの言葉が

「ともに罪を背負って地獄へついていきます」

という覚悟の台詞だとしたら恋雪が狛治とともにインタビューに登場したことにも一応の納得ができるのではないでしょうか。

慶蔵の言うように罪人である狛治を天国へ連れて行くことはできませんが天国で暮らしていた人間が地獄に渡ることは可能だと考えられます。

実際に下弦の伍・累が死亡した際もともと天国にいたと思われる両親が

「一緒に行くよ
地獄でも」

と言いながら罪を犯した累とともに炎に包まれる場面がありました。

以上の点から恋雪は人の心を取り戻した狛治の全てを受け入れた上で生涯の伴侶として共に罪を背負おうと決めたと言った解釈もできるのではないでしょうか。

悲しい過去を持つ猗窩座ですが最後は慶蔵や恋雪といった大切な人の記憶を取り戻すことができました。

 

まとめ

鬼になると人間の頃の記憶は消えてしまうと言われていますが鬼になっても人間時代の思い出が見え隠れしている様子を見ると恋雪たちとの記憶が猗窩座にとってどれほど大切だったのかが分かります。

残念ながら肉体が消滅してしまった猗窩座ですが生まれ変わっても慶蔵や恋雪と出会えるといいですね。

上弦の鬼の中でも猗窩座が一番好き!

猗窩座には絶対に幸せになって欲しい!

と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。

今回は以上です。

 

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