『鬼滅の刃』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こんにちはエンタメ考察室です。
鬼でありながら無惨の呪縛を解き放ち鬼殺隊の勝利に多大な貢献をした人物といえば珠世ですよね。
彼女のおしとやかな佇まいからは想像もできないほど重く辛い過去に涙した人も多いのではないしょうか。
今回はそんな珠世について解説していきたいと思います。
また無惨が珠世を連れていた理由や無惨戦で珠世が愈史郎にかんざしを渡した理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
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目次
1．珠世
珠世の見た目は牙や肌の白さなどを除けば人間とほぼ変わらず炭治郎が見とれてしまうほど美しい女性です。
公式ファンブックによると肉体年齢は19歳ですが童顔のため15、16歳ほどに見られることもあるそうです。
しかし実際は戦国時代に無惨と共に行動していた描写があることから400年以上生きていることになるでしょう。
医者として高度な知識を身につけており人体や鬼の体質仕組み薬学など様々な分野に精通しています。
その知識を活かし自分の体を改造したため鬼でありながら人を喰わず少量の血液だけで生きていくことができます。
このことから無惨を始めとする鬼たちからは逃れ物として軽快の対象になっています。
珠世の従者としてともに過ごす愈史郎は元は珠世が診察した病人でしたが珠世の手によって鬼となりました。
無惨以外で鬼を作り出したのは珠世だけでしたが二百年以上かけて鬼にできたのはむしろだけでした。
人を喰わないことも含めこれまで炭治郎が出会ってきた鬼とは明らかに違う存在ですよね。
性格はとても穏やかで上品な物腰で人と接します。
初対面の鬼殺隊である炭治郎に対しても鬼であることを隠さず得意な自分の状況を誠実に説明しました。
その上で無惨を倒したい鬼を人間に戻す方法を確立したいという真摯な思いを打ち明けます。
そんな珠世から炭治郎は嘘偽りのない清らかな人柄と信用にたる人物であることを感じ取りました。
そして珠世は炭治郎の妹・禰豆子が鬼になってから一度も人を喰わずにいることから禰豆子の存在が鬼を人間に戻すための方法を知る鍵となるのではないかと考えます。
炭治郎は根津港人間に戻すため珠世は鬼を人間に戻す治療法を確立させるためその方法を探すべく協力することになったのでした。
珠世には自らの血を媒介として発動する幻惑系の異能があります。
浅草で無惨が起こした騒ぎを沈めた時や無惨の配下であると対戦した時に使っていました。
自分の血の匂いをお香のように漂わせ吸い込んだ相手に意図した通りの効果を発揮させることができます。
脳の機能を低下させて秘密を守れなくする自白剤のような効果や一時的に対象者の視界を奪うことも可能です。
鬼だけでなく人体にも影響があり愈史郎はその場にいた炭治郎に対し吸い込まないように警告していました。
2．無惨との関係性
人間時代の珠世は命に関わる病気にかかっており子供の成長を見届けることすら新しい状況でしたそんな珠世の前に現れたのが無惨です。
なんとか生きながらえたかった珠世は無惨の血を受け入れて鬼となりました。
無惨のおかげで病気の苦しみから解放された珠世ですが鬼になったことで愛する家族を殺してしまうのでした。
この一件以降珠世は無惨への恨みを募らせながら生きていくことになります。
珠世が鬼になった時の二人のやり取りは分かりません。
しかし最終決戦時に無惨から逆恨みもはなはだしいと言われた珠世は
「病で死にたくない」
と言ったのは子供が大人になるのを見届けたかったからだと涙ながらに叫んでいます。
このことからおそらく無惨はわざと鬼になることを伏せたままただ病気を治す方法があると言って近づいたのではないしょうか。
こう思う親心を弄ばれただけでなく無惨に騙され愛する家族を自らの手にかける結果になってしまったことが珠世の復讐心の根幹にあると言えるでしょう。
鬼になってからの珠世は憎しみをうちに秘めたまま無惨と行動を共にしていました。
家族を喰い殺してしまったことで自暴自棄になり無関係な人間を大勢殺した時期もあったようです。
無惨は基本的に一人で行動することが多く作中では彷徨い以外に無惨が連れ歩いていた鬼はいませんでしたよね。
強いて言うなら泣き目がそれに当たりますが鳴女が付き従っていたのは無限城の中だけであり外を連れ歩いていたのは珠世だけです。
ここではなぜ無惨な珠世を連れ歩いていたのかその理由を考察していきます。
先ほども解説したように縁壱と出会った無惨はたまよう連れていました。
珠世の思惑としては無惨に一矢報いる機会を狙っていたからでしたよねしかし無惨の立場に立った時にわざわざ自分を恨んでいるであろう珠緒を連れて行動する意味はあったのしょうか。
下弦の鬼を集めたパワハラ会議のように無惨は近くにいる鬼の思考を読み取ることができます。
このことから無惨はほぼ確実に珠世の本心を知っていたはずですよね。
無惨が珠世を連れていた理由として3つの可能性があります。
無惨に気に入られていた
一つ目は自分と同じ境遇の珠世を気に入っていた可能性です。
病で死にたくないと言ったのは子供が大人になるのを見届けたかったからだというセリフから珠世は病気で余命宣告を受けていた可能性が高いですよね。
無惨もまた人間時代に不治の病にかかり20歳まで生きることはできないと言われていました。
病気の辛さや余命宣告後の苦しさを知っているからこそ無惨はたまようきにかけ特別扱いしていたのではないしょうか。
無惨のお気に入りだった鬼といえば加減の5類です。
よね類もまた生まれつき体が弱く歩くことすら辛いほどでした無惨はそんな類にかわいそうに私が救ってあげようと声をかけて鬼にしています。
この言葉が本心だったのかは分かりませんが実際に類はタブーであるはずの群れでの行動を許されており無惨から特別扱いを受けていました。
冷徹な性格の無惨ですのでいくら自分と同じ境遇だからと言っていた割の気持ちを持っていた可能性は低いでしょう。
ただかつての自分と重ねて共感する部分はあったのではないしょうか。
珠世の必要性
二つ目は太陽を克服するために珠世が必要だった可能性です。
無惨の大きな目的の一つに太陽の克服があります。
無惨はそのために青い彼岸花を探したり太陽を克服できる鬼が生まれるまで鬼を作り続けたりしていましたよね。
珠世は蟲柱・胡蝶しのぶも
「尊敬します」
というほど豊富な薬の知識を持っています。
無惨と珠世が出会ったのは何百年も前でありその頃から珠世が薬の知識を持っていたのかは不明です。
しかし仮に珠世が当時からズバ抜けた薬学の知識を持っていたとするならばわざわざ無惨な行動を共にしていたのも頷けます。
無惨は自身でも薬の研究を行っていましたがひょっとしたら昔は珠世と共同で体温を克服する方法を探っていたのかもしれませんね。
珠世を帯同させていた
3つ目は珠世の心境を理解した上であえて連れ回していた可能性です。
先ほども解説したように無惨はわざと真実を隠して珠世鬼に変えたと考えられます。
こう思う親心を弄ぶような行動からは無惨の性格の悪さが伺えますよね。
無惨が意図的に珠世を騙したのだとすれば当然無惨は珠世が自身を恨んでいることも理解していたはずです。
しかしどんなに殺したいほどの憎しみを抱いていたとしても鬼である限り無惨に逆らうことはできません。
無惨は珠世をあえてそばに置くことで彼女がもどかしく思うさまや苦しむさまを眺めて楽しんでいたのではないしょうか。
もしくはわざと行動を共にすることでどんなに頑張っても無惨を倒すことなどできないと理解させ心が折れる瞬間を見て優越感に浸ろうとしていたのかもしれません。
無惨を倒す機会を起こし淡々と狙っていた珠世ですが時間さえかければどんな薬でも分解してしまう無惨を相手取るためには無惨を逃がさないよう夜明けまで戦ってくれる存在が必要でした。
そんな珠世が出会った人物が始まりの剣士・継国縁壱です。
珠世は縁壱によってバラバラにされながらも逃亡した無惨に対し
と言って泣き崩れました。
そんな珠世の様子を見た縁壱は彼女に無惨討伐の手助けを依頼しました。
単行本に掲載された戦国コソコソ話によると珠世は無惨と別れた後、動物や人の亡骸を糧にして生き永らえていたようです。
縁壱に言われた
という言葉を何度も心の中で反芻しどれだけ苦しくても決して人を襲わなかったそうです。
縁壱はもともと珠世を殺そうとしていました。
しかし珠世が無惨に対して強い憎しみを抱いていることを知ると彼女に無惨討伐への協力を依頼しています。
縁壱は困ったことがあっても自分の内に秘めるタイプであり安易に他人に頼るような性格ではないと思います。
これは2歳の時に父親から言われた
という言葉を受け家に災いが起きないように誰とも口をきかず自分という存在を可能な限りないものにしていたことからも分かります。
なぜそんな縁壱が鬼である珠世を生かし協力を仰いだのしょうか。
結論から言ってしまうと縁壱は無惨と行動を共にしていたにも関わらず無惨に強い憎しみを抱いていた珠世を特別な存在と感じ長命な鬼の協力者を得ることで未来を託そうと考えたのだと推察できます。
鬼は群れて行動できないように作られています。
これは徒党を組んで反乱を起こすことのないように無惨が鬼の習性として組み込んだからですよね。
数々の鬼と戦ってきた縁壱ですので鬼が単独行動を好むことは知っていたと考えられます。
無惨と珠世が行動を共にする様子を見た縁壱はこの鬼は普通とは違う特別な鬼ではないかと直感したのではないしょうか。
だからこそ縁壱は鬼だと知っていながら彷徨うを殺さずに対話を試みたのではないしょうか。
実際、珠世はその豊富な知識と努力で無惨討伐の切り札的な存在になりましたよね。
また無惨の頸が切られた際珠世は機体を込めるような目で見つめしていました。
珠世の様子を見た縁壱は
と語っています。
さらに珠世は無惨が逃亡すると悲鳴を上げながら倒れ込み頭を掻きむしりながら
と叫びました。
こうした様子を見た縁壱は珠世が他の鬼とは違い無惨に強い憎しみを抱いている存在だと感じたのではないしょうか。
加えてこの時珠世は無惨の名前を呼んでも死んでおらず一時的に無惨の支配から解放されています。
こうした点も縁壱が彷徨う特別視する理由となったのかもしれません。
縁壱の前から無惨が去ったのち珠世は無惨はもう縁壱が死ぬまで姿を現さないだろうと伝えています。
これはつまり縁壱はもう無惨を倒すことができないということですよね。
縁壱は作中でも屈指の強力な登場人物です。
将来的に縁壱クラスの鬼狩りが現れる保証はどこにもありませんし仮に現れたとしても気の遠くなるような未来かもしれません。
その点鬼である珠世ならばはるか未来まで生きられる可能性が高いですよね。
縁壱は自身がいなくなった後に自身の意思を継いでくれる存在として長命な珠世を選んだのではないしょうか。
縁壱が珠世に未来を託したことが巡り巡って炭治郎との開口につながったと言えるでしょうとはいえいくら珠世が仲間になってくれそうな存在だとしてもほとんどの人間は鬼を信じたり協力を仰いだりはしないでしょう。
幼少期から達観した考えを持っていた縁壱ですのでもしかしたら鬼や人間といったカテゴリーではなくもっと本質的な部分で物事を見ていたのではないしょうか。
以上の点から縁壱が鬼である珠世を生かし協力を仰いだのは無惨と行動を共にしていたにも関わらず無惨に強い憎しみを抱いていた珠世を特別な存在と感じ長命な鬼の協力者を得ることで未来を託そうと考えたからではないしょうか。
この時縁壱が珠世に協力を仰いだことが様々な出会いにつながり巡り巡って無惨討伐という結果をもたらします。
縁壱との出会いがなければ珠世は鬼の衝動に負けて人を襲い続けていたかもしれません。
そうなれば炭治郎と出会う前に鬼狩りに倒されていた可能性がありますし炭治郎と敵対していた可能性すらありえます。
炭治郎と出会った際珠世は
「そして助けようとしている」
と言っています。
かつて鬼である自分を助け信じてくれた縁壱と炭治郎が重なって見えたのではないしょうか。
そして炭治郎との協力関係がなければ最終決戦前に行われた蟲柱・胡蝶しのぶとの共同開発や産屋敷艇での一連の共同作戦も実現しなかったと思われます。
珠世が炭治郎に協力したという実績があったからこそ鬼殺隊の長である産屋敷耀哉も彼女を信頼することができたのではないしょうか。
こうした鬼殺隊との協力体制が整っていなければ無惨を弱体化させる薬も誕生しませんでしたし珠世が最終決戦に参戦することもなかったと考えられます。
このように頼朝用を信じて協力を仰いだことが巡り巡って無惨の討伐につながったと言えるでしょう。
3．愈史郎にかんざしを渡した理由
そんな珠世の最後は無惨が産屋敷家を襲撃した場面から始まります。
耀哉の自爆に巻き込まれた無惨は浅草で鬼にされた人の血鬼術通称浅草ニードルを受けて身動きが取れなくなりました。
そこで無惨は血気術後と己の体内に吸収しようと考えます。
ところが決議術を取り込もうとした瞬間、愈史郎の血鬼術で身を隠していた珠世が飛び込み自身の腕ごと人間帰りの薬を吸収させました。
その後薬の分解のために肉の繭で回復した無惨に喰われて死亡しました。
しかし死亡後も無惨の体内に精神体のような状態で存在しており度々無惨と対話をする姿が描かれています。
最終決戦では珠世が作った4種類の薬が活躍しましたよね。
実は珠世の薬はそれぞれ「生老病死」をモチーフにしている可能性があります。
拍子とは生まれること多いことやむこと死のことという人生における免れられない4つの苦悩を指す仏教用語です。
人間返りの薬
一つ目は人間返りの薬です。
人間帰りの薬はその名の通り鬼を人間に戻す効果があります。
無惨を完全に無力化することは叶いませんでしたが無惨の弱体化に成功し日の出までの時間を大きく稼ぐことができました。
不死の無惨を人間に戻すということは言い換えれば人間としての性を強要することになります。
このことから人間帰りの薬は人として生きる苦しみを表しているのではないしょうか。
老化の薬
二つ目は老化の薬です。
炭治郎との戦いの最中、無惨は自身の体に起きた異変に気付きます。
いくら「日の呼吸」を使う炭治郎を相手にしているとは言え最強の鬼である自分が人間一人を仕留めきれない事実ここで無惨は自身の動きが遅くなっていることを知ります。
老化の薬は1分経過するごとに無惨を50年も追いさせる効果を持っています。
これにより無惨の肉体は急速に老化が進行し老化に気付いた時点で既にに9000年も老いていました。
無惨の体は老化を食い止めるために少しずつ消耗しておりそのせいで圧倒的な実力差があるはずの炭治郎らを仕留めきれずにいたのです。
いくら寿命の長い無惨でも9000年という膨大な時間の進行は大きな負担になったはずですよね。
このことから老化の薬は甥の苦しみを表しているのではないしょうか。
分裂阻害の薬
三つ目は分裂阻害の薬です。
夜明けが近づき追い詰められた無惨はかつて縁壱の前でやって見せたように無数に分裂して逃亡しようと試みました。
無惨はどんなに強力な薬でも時間さえあればすることができます。
一度退き珠世の薬を完全に無力化してから再度鬼殺隊を襲撃しようと考えていたのでしょう。
しかしそんな無惨の思惑は外れることになります。
分裂しようと膨らませた肉体はまるで風船がしぼむように収縮し無惨は3つ目の薬の存在を知るのでした本来できるはずのことができなくなったり自分の体が思うように動かせなくなったりといった状況は病に侵された時に似ていますよね。
このことから分裂阻害の薬は病気の苦しみを表しているのではないしょうか。
細胞破壊の薬
四つ目は細胞破壊の薬です。
人間帰り、老化、分裂阻害の薬の効果で弱ったところに最後の細胞破壊の薬が効果を発揮します。
無惨の体は内部から破壊されて吐血し疲労により血気術が連発できなくなったり攻撃速度が格に遅くなったりしていました。
これにより通常時ならば傷一つ付けられないはずの無惨の体に対し鬼殺隊のあらゆる攻撃が有効になったのです。
細胞破壊の薬が効き始めた際、珠世は無惨に
と囁いています。
このことから細胞破壊の薬は死の苦しみを表しているのではないしょうか。
以上の点から珠世の薬は仏教における聖籠拍子をモチーフにしていると考えられます。
不変の不老不死を目指す無惨にとって人間に近づけられ老いていき、体が言うことを聞かず死が間近に迫る状況はこの上ない屈辱であり苦しみでもあったのではないしょうか。
4．現代編に登場していない珠世
無惨討伐になくてはならない存在と言える珠世ですが実は最終決戦に参戦した味方側の登場人物で唯一現代編に登場していません。
鬼はそのほとんどが地獄に落ちています。
これは公式ファンブックミニ掲載された地獄の鬼取材に作中に登場した鬼が多数登場していることからも分かります。
鬼である珠世も他の鬼と同様に地獄へ落ちたのではないしょうか。
だからこそ現代編には登場できなかった可能性があります。
これを裏付けるように鬼滅ファンの間で有名な考察の一つに204話の扉絵で珠世だけが他の登場人物とは別の方向を向いているというものがあります。
なぜ珠世が逆方向を向いていることが地獄に落ちたことに繋がるのかその理由を解説していきますね。
炭治郎と禰豆子以外死亡している
理由の一つ目は扉絵に描かれた登場人物たちが炭治郎と禰豆子を除けば全員亡くなっていることです。
彼らは皆、鬼との戦いで命を落とした人たちです。
生き残った炭治郎と禰豆子が彼岸花を手に怪しげな表情を向けている点からも扉絵は亡くなった人々の旅立ちを描いたものだと推察できます。
人を殺していること
理由の二つ目は珠世がたくさんの人間を殺していることです。
扉絵に描かれた登場人物の中で唯一、珠世だけが鬼としてたくさんの人間を殺めています。
これは産屋敷家での無惨との会話で珠世自身が自暴自棄になって大勢殺したと認めていましたよね。
このことから亡くなった登場人物のうち珠世だけが逆方向を向いているのは珠世が地獄に向かっているからだと考えられます。
転生していない珠世
理由の三つ目は珠世だけが現代で転生しなかったことです。
扉絵に描かれた登場人物は皆、最終話で現代に生まれ変わったと思われる描写がされていますよね。
例えば不死川兄弟は仲の良い警察官コンビとして伊黒と甘露寺は定食屋の夫婦として登場していました。
しかし珠世だけは愈史郎が描いた絵でしか登場しておらずコミックスに掲載された現代編の登場人物紹介にも載っていません。
このことから珠世だけが転生していないと推察できます。
もし珠世が地獄に落ちたのならば他のみんなと一緒に生まれ変われなくても不思議ではありませんよね。
以上の点から扉絵の珠世が逆を向いているのはたくさんの人間を殺してしまった罪を償うために地獄へ向かっているからだと考えられます。
5．珠世と愈史郎の絆
そして最後に珠世と愈史郎の絆について考察していきます。
珠世を語る上で欠かせない存在といえば愈史郎ですよね。
愈史郎は自身を病から救ってくれた珠世に惚れており行動原理のほとんどが彷徨う基準としています。
一見するという指導が一方的に好意を抱いているようにも思えますが実際は珠世も愈史郎を大切に思っていたのではないしょうか。
愈史郎は人間時代に病に倒れ死の淵に立たされていました。
愈史郎の治療をしていた珠世は愈史郎に生きるために鬼となる選択肢を与えます。
この時珠世は人で亡くなることは辛く苦しいと鬼になることで待ち受ける苦難を伝えています。
おそらく愈史郎には自分のように後悔をして欲しくなかったのではないしょうか。
無惨討伐後愈史郎は泣き珠世に対し
と泣きながら報告しています。
この時愈史郎は珠世のものと思われるかんざしを抱きしめていました。
江戸時代からかんざしを送る行為には
という意味が込められているそうです。
一般的には男性から女性に贈るものとされていますが無惨との戦いで命を散らす覚悟を持っていた珠世は残された愈史郎には
と願っていたのではないしょうか。
実際に産屋敷家で無惨と対峙した際に珠世の髪にはかんざしはありませんでした。
以上の点からかんざしは珠世から愈史郎に送られたものだと考えられます。
愈史郎がかんざしをくださいとお願いした可能性もありますがかんざしの持つ意味合いを踏まえると考えにくいと思います。
愈史郎は珠世が死に向かうことを本心からは認められないはずですので形見をもらうようなことはしないのではないしょうか。
またコミックス掲載の「大正象コソコソ話」によると珠世は薬の共同開発中に時間のない中でもギリギリまで頑張って猫の茶々丸を鬼にしようとしていたそうです。
全ては愈史郎がひとりぼっちにならないよう寂しくないようにとの思いからでした。
茶々丸こそが珠世が愈史郎を何よりも大切に思っていた証なのかもしれませんね。
公式ファンブック・弐によれば愈史郎は珠世に思いを伝えることはなかったそうです。
珠世の心の中には常に亡き夫と子供がいたためですね。
しかし愈史郎は一つだけ珠世と約束を交わしています。
それは生まれ変わったら夫婦になってほしいというものでした珠世は微笑んで頷いてくれたそうです。
このことから珠世もまた愈史郎に深い愛情を抱いていたと考えられます。
現代編で愈史郎は珠世という女性の絵を描き続けていました。
愈史郎は珠世が地獄で罪を償い生まれ変わるのをずっと待っているのかもしれませんね。
まとめ
鬼でありながら無惨に反旗を翻し鬼殺隊の協力者となった珠世。
彼女の存在がなければ無惨討伐はおろか禰豆子を人間に戻すことすら不可能だったのではないしょうか。
そういった意味では珠世こそが本作最大の重要人物だったのかもしれませんね。
珠世と愈史郎には是非結ばれて欲しいと思った人はまた次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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