鬼滅の刃

【鬼滅の刃】鬼化した炭治郎に伊之助が言った「斬れねぇ」の意味を考察!

2023年10月11日

『鬼滅の刃』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

質問者
最終決戦で伊之助が言った「斬れねえ」の意味を教えてください。

こんにちはエンタメ考察室です。

鼓屋敷での戦いの最中突如現れた鬼殺隊士・嘴平伊之助。

人の気持ちに無頓着で強さが全てという価値観だった伊之助ですが炭治郎たち仲間との出会いでだんだんと情緒が育っていきます。

話が進むごとに仲間思いの頼もしい剣士になっていく伊之助は作中で最も内面的変化が大きい登場人物の一人ではないでしょうか。

今回はそんな伊之助の性格や強さについて解説したいと思います。

また最終決戦で鬼化した炭治郎に

「だめだ炭治郎できねえ」

と言った伊之助の真意についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。

 
 
 

※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

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1.嘴平伊之助

伊之助は炭治郎の同期隊士で仲間3人組のひとりです。

上半身は裸で猪の頭の皮を被っているので普段あまり素顔が見えません。

赤ん坊の頃にわけあって母親に山で捨てられ猪に育てられたという変わった経歴の持ち主であり頭に被る皮は育てた猪の形見だそうです。

山で動物に囲まれて育った文字通りの野生児で意味もなく木に体当たりしたり誰彼構わず力試しの勝負を挑んだり血気が有り余っている少年です。

通常鬼殺隊の隊士は支給された隊服を着用しますが伊之助にはこれがかえって皮膚感覚を鈍らせる不快感があるようで上半身はすぐに脱ぎ捨てて引き裂いてしまいました。

公式ファンブックによるとこの一件で縫製係の隠たちからはとても嫌われているそうです。

素顔は少女と見紛うほど端正な顔立ちで遊郭の女将に花魁候補として見込まれるほどの美形です。

性格は本人の口癖でもある「猪突猛進」がまさにぴったりと言えるでしょう。

力比べが好きでいつでもどこでも誰に対しても好戦的・粗野で粗暴です。

たまたま山で出会った鬼殺隊士と力比べをして選別のことを無理やり聞き出した挙句に育手なしで選別に合格してしまう破天荒ぶりは野生児を通り越してまさに獣ですよね。

自分が親分でいることにこだわり夢の中では炭治郎たちを子分にしていました。

禰豆子にも親分と呼ばせようとしているところはまるでガキ大将で精神年齢が実年齢よりも幼いところがあるようです。

育った環境が原因で人の心や感情に触れてこなかったため強いこと勝つことに何よりも重きを置いていました。

どんなことでも負けるのが大嫌いで挑発に乗りやすくすぐに感情をむき出しにします。

義勇や悲鳴嶼といった自分より強い相手に出会うと臆せず勝負を仕掛けるほど好戦的ですが負け込んだり自分の力が及ばない現実を突きつけられると別人のように落ち込んでしまう意外な一面があります。

人の名前を覚えるのが苦手なようで常に行動を共にしていた炭治郎や善逸の名前すらたびたび間違えていましたが最終回付近になってようやくちゃんと呼べるようになりました。

アニメ版の大正コソコソ噂話によると伊之助が正しく名前を呼べるのは7回に1回だそうおです。

2.生い立ち

次に本編で明かされなかった伊之助の生い立ちについて考察していきたいと思います。

前述の通り伊之助は生まれたばかりの頃に母親にやむを得ず捨てられてしまい猪に育てられます。

伊之助を育てた猪は自分の子供を失ったばかりだったそうです。

伊之助の相手の視線を感知する鋭い皮膚感覚や強さにこだわる性格はここで培われたのでしょう。

動物同様に育っているために人間が普通に学んでいく一般常識に欠けています。

食事を手づかみで食べたり亡くなった人の埋葬を無意味と一刀両断するなど常識に欠ける行動で周囲を驚かせましたよね。

療養でお世話になった藤の家でも切り火の習慣を知らずに見送りのおばあさんを怒鳴ったり都会の記者を見て山の主だと怯えるなどして善逸を呆れさせたり怒らせたりしています。

言葉で人と交流が取れることでかろうじて人間の体を保っていることでしょう。

伊之助が難しい言葉も流暢に喋れるのは幼い頃にたまたま出会ったたかはるという青年とその祖父のおかげです。

たかはる達が住む家に偶然迷い込んだ伊之助は祖父に孫兼ペットのような感覚で可愛がられ百人一頸の読み聞かせをされていました。

おやつのおかきももらっていたようでまだ動物そのものだった伊之助なりに懐いていた様子がわかります。

言葉を覚え始めた伊之助はある日いつものように追い払おうとするたかはるを返り討ちにしてしまいました。

たかはるは伊之助よりずっと年上なのでこの頃から強かったんですね。

これ以降たかはるの家を縄張りと称し祖父の膝に乗せてもらいながらおかきを食べつつ言葉を覚えていったそうです。

なかなかお目にかかれない経歴を持つ伊之助ですが本人は最終決戦で上弦の弐・童磨と戦うまで母親に捨てられたと思っていました。

「俺に母親はいねえ」
「母親は俺がいらなかったんだ」

と言っていましたが童磨との戦いで真実を知ることになります。

伊之助の母・琴葉は伊之助に瓜二つの美人で伊之助を宝物のように大切に思っていました。

伊之助の父親である旦那と姑による虐待に耐え兼ね童磨が教祖をやっていた万世極楽教に赤ん坊の伊之助を抱えながら助けを求めて駆け込んだのでした。

童磨に気に入られ伊之助とともに生かされていた琴葉でしたがある日童磨ガ信者を喰っていることに感づき伊之助を連れて童磨の元を飛び出します。

逃げきれず追い詰められた琴葉は伊之助だけでもと崖から下の川に伊之助を落としその直後に追ってきた童磨に殺されてしまったのでした。

伊之助は自分を可愛がり歌を歌ってあやしてくれた母の姿をうっすらと思い出します。

捨てられたのではなく命がけで守ってくれたことがわかる場面で母・琴葉の深い愛情と懸命な姿は伊之助でなくても涙を誘われてしまうと思います。

大正コソコソ噂話によると琴葉が元々の家を飛び出したのは泣いていた伊之助をうるさがっていた父親が伊之助を強く揺さぶったためだそうです。

父親の手に噛みついた琴葉は雪が降る中裸足で童磨の元まで助けを求めに行ったそうです。

もし伊之助がこのまま生家で育っていたとしたら琴葉と共に虐待を受けていた可能性が高いでしょう。

今とは全然違う性格になっていたでしょうし鬼殺隊に入ることもなかったと思います。

無事に逃げて琴葉と二人で幸せに暮らしていたとしたら琴葉そっくりのおっとりした性格になっていたかもしれないと思うとそれはそれでちょっと見てみたいですよね。

3.柱

次に伊之助が柱になることはできたのかを考察していきたいと思います。

伊之助は獣の呼吸という独自で編み出した呼吸を使います。

技の独創性で言ったら恋柱・甘露寺と並んで最上位と言えそうです。

二刀流の剣士で日本ともわざと刃こぼれさせてのこぎりのようにしており千切り裂くような切れ味が自慢と得意げでしたが刀鍛冶にはとても怒られていましたね。

山育ちだけあって基礎身体能力がとても高く体も柔らかいです。

体の関節を自在にはずしたり戻したりできるという人間離れした特技を持っています。

童磨戦では間合いの外から振りかぶったと見せかけて腕の関節を外して相手に斬撃を届かせるという独特の技を披露しました。

これには童磨すら

「無茶苦茶だなァ」

と驚いておりこんな突拍子もない技が出せるのは伊之助だけの強みでしょう。

また言動が好戦的なので攻撃集中型に見えますが実は防御力も高いです。

その野生的感覚を研ぎ澄ませ敵の居所や敵の狙ってくるところを感じ取ることができるからです。

遊郭編では敵の武器である毒の刃に心臓を刺されてしまいますが内臓の位置を動かして致命傷を避けるという離れ業を見せました。

この感覚のおかげで何度も窮地をくぐり抜けています。

しかし感覚だけに頼っているわけではなく剣技もちゃんと鍛えており遊郭に潜んでいた上弦の陸・堕姫戦では帯に捕らえられた人間の女性たちを斬らないよう上手く避けながら助けていましたね。

怖いもの知らずな性格も炭治郎たち仲間を知らず知らずのうちに励むしています。

那田蜘蛛山編では禍々しい雰囲気を放つ山やボロボロにされた仲間の姿にも全く怖気づいていませんでした。

山に入るのを内心で少し怯んでいた炭治郎はその姿に頼もしさを感じ伊之助に感謝していましたよね。

またどんな時でも強気で相手を挑発する精神力、我の強さも伊之助の特徴です。

多くの鬼や隊士が恐怖した無惨相手の時ですら憎まれ口を叩いておりどんな時でも強気の姿勢を崩さない精神力も伊之助の強さなのではないかと思います。

そんな伊之助ですが柱にはなれたのかどうか考察したいと思います。

いずれも他の仲間との共闘ではあるものの上弦の陸、上弦の弐という上位に位置する鬼を倒しているため実績という意味では十分柱になる素養はあるでしょう。

柱になるには鬼を50体もしくは十二鬼月を倒しそして柱に空席があるときに一つ下の階級である「きのえ」の隊士であることが条件です。

最終決戦の活躍で「甲」になることが出来れば可能性はあるかもしれないですが獣の呼は伊之助が編み出した我流の型であり技の独創性がとても高く修得が難しいのではないでしょうか。

公式ファンブックによると獣の呼吸は風の呼吸に近いものがあるとのことなのでもし柱になるとしたら不死川実弥の後継となった可能性もあります。

あるいは本人が言っていたように野獣柱もしくは猪柱になるかでしょう。

もしも新しく猪柱になったとしても後継者の育成に苦労しそうですね。

伊之助は教えるのは苦手そうですし伊之助一代で終わってしまう唯一無二の柱かもしれません。

4.「できねぇ」に込められた想い

炭治郎と伊之助が初めて出会ったのは鼓屋敷です。

ここでの伊之助の登場場面は強烈で相手が鬼でも鬼殺隊隊士でも関係なく自分に向かってくるものはみんな倒すというまさに戦闘狂でしたよね。

ひたすら自分の強さを誇示し強くなることしか考えておらず鬼に捕まった兄を助けるために屋敷にいた少女・てる子を平気で踏みつけにして炭治郎に怒られています。

純粋に戦って勝ちたいというだけで悪気はないのでしょうが自分のやりたいこと以外目に入らないまさに猪突猛進という感じでしたよね。

あまり複雑に物事を考える事もしないようで鬼がいれば倒すという単純な考えで禰豆子が入った箱を狙ってきました。

箱を庇う善逸に対しても同じ鬼殺隊であるにも関らず構わず攻撃を仕掛けてボコボコにしてしまいました。

自分以外の人間はより高みを目指すための踏み台もしくは価値のない弱味噌という認識しかしていません。

この時点では言葉は話せるものの中身は野生の獣そのもので強さにしか興味が無い人の気持ちに無頓着で傍若無人な態度が目立ちます。

この戦いで負傷し藤の家紋の宿で療養した際にはおばあさんの無償の優しさに今までにない感情を抱きます。

けれどそれがなんだかは分からない様子で本人はホワホワと表現していましたね。

次に向かった那田蜘蛛山で炭治郎と初めて一緒に戦います。

ここで炭治郎の戦い方は自分の戦い方とは大きく異なることに気づきます。

自分の活躍よりも人助けを優先したり戦い全体の流れを見て的確な判断が出来る炭治郎に悔しさを覚えます。

しかしこれは今までのように力比べで負けるような単純な悔しさとはまた違うものだったのでしょう。

冷静に状況を分析しながら自分のことよりも人のことを思って動く炭治郎の姿に自分が持っていない何かを感じ取ったのではないでしょうか。

伊之助は

「山に一緒に入ってくれてありがとう」

と炭治郎にお礼を言われた時には藤の家のおばあさんの優しさに触れた時と同じホワホワした感覚を味わいます。

これは感謝された嬉しさあまりにもまっすぐで素直な炭治郎の言葉への照れくささでしょうが生まれて初めて味わう感覚をどうしたらいいかわからずに怒ってしまう姿はまるで幼児のようですよね。

ここでの伊之助は何か今までにないものが芽生え始めているものの良く分からず居心地の悪さを感じているという印象です。

この後に向かった無限列車では鬼の術によって眠らされてしまいます。

無意識領域に入り込まれたことで伊之助の深層心理が明かされました。

伊之助の夢は自分が探検隊の親分で炭治郎たちを子分として引き連れて進んでいくというもので幼稚で我の強い一面が見て取れますね。

また鬼に操られて炭治郎のお腹を刺した人に本気で腹を立てる様子には少しずつ仲間意識や共に戦うということを覚えてきたように見えます。

さらにこの戦いでは一緒に戦っていた炎柱・煉獄の死を目の前で見届け遺言を聞くという辛い経験をします。

煉獄の優れた剣術や冷静な判断力圧倒的な統率力には伊之助も

「なんかすごかった」

と悔しがりながらも圧倒されていました。

うまく言葉にはできないものの柱と自分達の違いを肌で感じたということなのでしょう。

煉獄の強さは今まで伊之助が認識していた強さとは違うものだったのだろうと思います。

これまで伊之助にとっての強さは単純な腕力や体力が優れていることだったのが

・人のために命を懸ける覚悟
・仲間への信頼や優しさも強さ

であると学んだのではないでしょうか。

自分達を庇って煉獄が死んでしまい自分の弱さを責めながら

「煉獄さんみたいになれるのかなぁ」

と嘆く炭治郎を叱咤します。

「悔しくても泣くんじゃね」

と言いながら自分も大泣きして善逸に突っ込まれていましたよね。

仲間を励まし先輩の死を悲しむなど今までと違った行動を見せるようになっていますよね。

遊郭に潜んでいた上弦の陸・堕姫との戦い方にもさらに変化が見え始めました。

圧倒的な力の差から苦戦し3対1での対戦を余儀なくされてしまいます。

けれどここでついに

「三人なら勝てるぜェェェイ!!」

といいはっきりと協力して戦う意志が見て取れます。

そしてついに最終決戦では柱たちが大けがをしたことやたくさんの仲間の命を奪われたことに涙を流しながら怒るまでになりました。

けものそのものだった伊之助に完全に人としての気持ちが芽生えていることが分かります。

あの伊之助の口から仲間という言葉が出てくるところは感動的ですよね。

大勢の人の命を奪い傷つけてきた無惨に怒りを爆発させます。

「百万回死んで償え!!」

と言い放った伊之助の台詞や涙はあの場にいた隊士や読んでいた読者の心の叫びを完全に代弁してくれていますよね。

無惨の無茶苦茶な強さに絶望していたあの戦況で炭治郎たちを奮い立たせてくれたはずです。

かつては亡くなった人に対し

「生き物の死骸なんて埋めて何の意味がある」
「死んだ生き物は土に還るだけ」

と言っていた伊之助が仲間のために泣き・怒り・戦うというのは大きな変化ですよね。

特に炭治郎や善逸のことは兄弟のように思っているのでしょう。

無惨の策略で鬼化してしまった炭治郎を見て2人と交わした約束を思い出します。

自分たちは兄弟みたいなものだから誰かが間違った道にそれたら自分たちの誰かが止めようだからこそ

「俺が止める」

と一度は炭治郎に刃を向け頸元を捉えます。

けれど優しくしてくれた炭治郎との思い出がよぎりどうしてもできないのです。

「斬れねえだめだ炭治郎できねえ」

伊之助が相手の攻撃にやられて物理的に技を出せない動けない状態になったことはあっても自分の気持ちが原因で相手を斬れないといったのは初めてでした。

伊之助にとって炭治郎は自分にとって初めての仲間であり兄弟で共に斬磋琢磨する楽しさ、人の心の温かさを教えてもらった大切な存在です。

一緒にいるうちにただの競争相手からどんどんかけがえのない存在になっていったのでしょう。

大切だから鬼となって人を殺す前に止めたい大切だからこそ斬れないこの葛藤が短い台詞の中に凝縮されていて目頭が熱くなる場面ですよね。

野生のけものから友情に目覚めた伊之助は口は悪くても心の優しい素敵な剣士になりました。

無惨との決戦の後は炭治郎や善逸人間に戻った禰豆子と暮らすようになります。

公式ファンブックによると優しい禰豆子にとても懐いていてその日にあったことは何でも報告するようになったそうです。

その様子はまるでお母さんのあとをついて回る子供のようで禰豆子のことを母親のように思っていたのかもしれませんね。

普段は勝負勝負とやかましく状況をややこしくさせることもある伊之助ですがいざという時の直感の鋭さは本当に頼もしいですよね。

単刀直入に心を打つ台詞の数々は炭治郎たちを通してこちらの気持ちまで奮い立たせてくれますし美形の無駄遣いという乖離も面白いですよね。

伊之助が出てくると次は何をやらかしてくれるんだろうとドキドキさせてくれる登場人物です。

かまぼこ隊の絆に感動した!

禰豆子を慕う伊之助が可愛すぎる!

と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。

今回は以上です。

 

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