鬼滅の刃

【鬼滅の刃】上弦の陸・妓夫太郎が炭治郎を殺さなかった理由を考察!

2023年10月14日

『鬼滅の刃』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

質問者
妓夫太郎が炭治郎を殺さなかった理由を教えてください。

こんにちはエンタメ考察室です。

遊郭編で登場し堕姫に続くもう一人の上弦の陸といえば妓夫太郎ですよね。

鬼でありながら圧倒的な美貌を持つ堕姫とは対照的に見るものに恐怖を与える不気味な外見は多くの方に衝撃を与えました。

そんな妓夫太郎と堕姫の兄弟愛に涙した人も多いのではないでしょうか。

今回は上弦の陸・妓夫太郎について解説していきたいと思います。

また妓夫太郎が堕姫を見捨てなかった理由や遊郭編の終盤で妓夫太郎が炭治郎を殺さなかった理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。

 
 
 

※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。

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1.妓夫太郎

妓夫太郎はボサボサの髪にギザギザの歯、恨めしげな表情が特徴的なをにで顔や体にはシミのような模様が刻まれています。

血の染みのような痣やギザギザの歯といった特徴は先天性梅毒によく見られる症状であり後ほど解説する生い立ちを踏まえると恐らく母親から感染したのではないでしょうか。

先天性梅毒に感染すると大抵の場合死産となりますが無事に生まれたとしても障害が残るとされています。

妓夫太郎の醜い声や容姿は先天性梅毒による障害が原因なのかもしれませんね。

卑屈で残忍な性格をしており音柱・宇髄天元の外見の美しさを妬み

「妬ましいなああ」

といった発言をしていました。

一方で妹の堕姫には甘く天元に頸を斬られた妹を慰め顔の火傷をさすりながら

「せっかく可愛い顔に生まれたんだから」
「顔は大事にしろ」

と優しく語りかけています。

基本的に堕姫の体内に隠れており堕姫が危機に陥ると姿を現し妹に仇なす存在を殲滅する護衛のような役割を担っています。

かまぼこ隊そして音柱・宇髄天元との激闘の末に頸を斬られて消滅しました。

2.強さ

妓夫太郎が使用する血鎌は文字通り自身の血液を鎌として扱う血鬼術です。

鎌といっても使い方は様々で刃を飛ばして離れた敵を攻撃したり多数の刃を身に纏って広範囲に対応したりととても応用の利く術と言えるでしょう。

また妓夫太郎の血には強力な毒が含まれており普通の人間ならかすっただけでも死に至るとされています。

元忍びで毒に耐性のある宇髄天元ですら禰豆子の解毒がなかったら死んでいたのではないでしょうか。

妓夫太郎はその見た目に反して頭の回転が速く戦術眼にも秀でています。

作中では乱戦の中でも的確に妹を援護したり天元の放った火薬玉の迎撃を察知し瞬時に攻撃の手を止めたりしており視野の広さが伺えます。

多大な情報を処理し的確な判断が下せる柔軟な思考の持ち主と言えるでしょう。

自身の片目を堕姫の額へ移動させることで妹を操ることもでき堕姫自身も妓夫太郎の目が開いた状態になって初めて本来の力を発揮できるようになります。

鬼舞辻無惨も妓夫太郎の強さや境遇、貪欲な性格を高く評価していました。

妓夫太郎たちが討伐された後、無惨は

「案の定堕姫が足手纏いだった」
「初めから妓夫太郎が戦っていれば勝っていた」

と発言しています。

こうした言動からあくまで妓夫太郎のの強さがあってこその上弦の陸だったのではないでしょうか。

また妓夫太郎の大きな特徴として妹の堕姫と同時に頸を斬られない限り消滅しないという特性があります。

単体での戦闘力が高い上にどちらかの頸を斬り落としただけでは死なないことから仮に天元が単体で遊郭に潜入していた場合上弦の陸を討伐することは困難だったと言えるでしょう。

3.見捨てなかった理由

次に妓夫太郎が堕姫を見捨てなかった理由について考察していきたいと思います。

遊郭の最下層に生まれた妓夫太郎には名前がありませんでした。

貧しさに加えて外見が醜かった妓夫太郎は親にすら疎まれながら育ちます。

「生まれてくる前に何度も殺されそうになり」
「生まれてからも邪魔でしかなく」
「何度も殺されそうになった」

という妓夫太郎の独白からもいかに生活に困窮した過程で生まれたのかが分かりますよね。

遊郭というある種見た目の美しさが全てと言える場所に置いて醜く不潔な妓夫太郎には生きる価値がありませんでした。

そんな絶望にまみれた人生を救ってくれたのが妹の堕姫です。

人間時代は梅という名前でした。

幼い頃から大人もたじろぐほどの美貌を持っていた梅はやがて遊郭で働くようになります。

一方妓夫太郎は自分の強さに気が付き取り立ての仕事をするようになりました。

遊郭において客の呼び込みや集金を行うものは「妓夫ぎゅう」と呼ばれ妓夫太郎の名前の由来となっています。

妓夫太郎が鬼になっても同じ名前なのはそもそも人としての名前を持っていなかったからではないでしょうか。

外見の醜さから蔑まされて生きてきた妓夫太郎にとって誰よりも美しい梅はまさに自慢の妹だったと言え妓夫太郎はそんな妹のために常に体を張って守っていました。

公式ファンブック・弐にでは妓夫太郎が幼い梅を守り育ててきた経緯が明かされています。

妓夫太郎たちの母親は梅の髪や目の色が他人と異なることを不気味に思い赤子だった梅をくびり殺そうとしました。

その時は妓夫太郎が助けたことて事なきを得ましたがその後も母親からの暴力は続いていたようです。

妓夫太郎は醜い自分を慕い頼ってくる梅を何よりも可愛いがっていました。

ある時母親が梅の髪を剃刀かみそりで切り怒り狂った妓夫太郎が暴れたことをきっかけに親子の力関係は逆転しました。

それ以降母親は妓夫太郎に怯え距離を取るようになったとされています。

このように妓夫太郎は常に梅のために行動し親代わりとなって愛情深く育ててきました。

冷たい雪が降りしきる日に妹を抱きしめながら

「俺たちは二人なら最強だ」
「寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら」
「約束するずっと一緒だ」
「絶対離れない」
「ほらもう何も怖くないだろ?」

と笑顔で励ましていた妓夫太郎は炭治郎にも負けないほど優しいお兄ちゃんですよね。

そんな妓夫太郎が鬼になるきっかけとなったのが梅が客である侍の右目をかんざしで突き刺して失明させた事件です。

侍の報復によって生きたまま焼かれた梅は瀕死の重傷を負います。

妓夫太郎は焼け焦げた妹を抱きながら

「何も与えなかったくせに」
「取り立てやがるのか」

と天に向かって叫びました。

そこに現れた童磨が無惨の血を与えたことで二人は鬼の道へと身を落とすこととなりました。

先ほども解説したように上弦の陸に相応しい実力を持っていたのは妓夫太郎であり妹の堕姫は足手纏いと言わざるを得ません。

実際、堕姫は天元によってあっさりと頸を斬り落とされており

「お前上弦の鬼じゃねえだろ」
「弱すぎなんだよ」

と言われていましたよね。

効率だけを考えれば妓夫太郎には堕姫を取り込んで一人で戦うという選択肢もあったのではないでしょうか。

ここではなぜ妓夫太郎が堕姫を見捨てずに二人で戦う道を選んだのかその理由について考察していきたいと思います。

依存していた

理由の1つ目は妓夫太郎と堕姫はそれぞれが依存し合うことで生きてきたことが挙げられます。

妓夫太郎が堕姫に語っていた

「俺たちは二人なら最強だ」

という台詞はお互いがお互いに欠けているものを補い合っていることに起因していると思われます。

圧倒的な美貌を持つか代わりに精神的に未熟であまり賢くはない堕姫と広い視野と高い戦闘能力を持つ代わりに醜い外見と激しいでどう感にさいなまれてきた妓夫太郎。

遊郭の最下層という劣悪な環境で生きていくためにはお互いの存在が精神的な支えになっていたのではないでしょうか。

醜さを嘆いていた妓夫太郎は美しい妹を守ることで自分の存在理由を手に入れることができ、ひとりで生きていくだけの知恵も経験も持たない堕姫にとっては幼い頃から自分を守り育ててくれた兄こそが世界の全てだったと言えるでしょう。

そう考えると二人にとって兄弟はもう一人の自分とも呼べる存在だったと考えられます。

「二人なら最強」

とはつまり

「一人では弱い」

とも言い換えられるのではないでしょうか。

妓夫太郎が堕姫を見捨てなかったのは堕姫が妓夫太郎にとって自身に足りない部分を補ってくれるもう一人の自分だったからではないでしょうか。

同じ境遇になって欲しくない

理由の2つ目は妓夫太郎は堕姫に

「自分のようにはなってほしくない」

と感じていたことが挙げられます。

妓夫太郎は妹に対して

「お前は俺と違ったんじゃないか」

と語っています。

そして

「もっと良い店にいたならまっとうな花魁に」
「普通の親元に生まれていたなら普通の娘に」
「良家に生まれていたなら上品な娘になっていたんじゃないか」

と言っています。

妓夫太郎は自分と関わってしまったことこそが堕姫の人生を狂わせた原因なのではないかと考えていたのではないでしょうか。

自分の妹として生まれてこなければ妹にはもっと平凡で幸せな人生が訪れていたのではないかもしかしたら妓夫太郎はそう思っていたのかもしれません。

実際、妓夫太郎は回想で

「俺の唯一の心残りはお前だったなあ」

と言っています。

これは言い換えれば自分とは違う道を歩んでほしかったと感じていたとも捉えられます。

つまり妓夫太郎が堕姫を取り込まなかったのは自身と同じ場所に落ちて欲しくなかったからであり、これ以上自分と同じ場所に落ちることがないようそばで見守るためだったのではないでしょうか。

以上の点から妓夫太郎が堕姫を見捨てずに二人で戦う道を選んだ理由は妓夫太郎が妹を何よりも大切に思っていた一方で自分のように汚れた存在にはなってほしくないと感じていたからだと考えられます。
 

4.炭治郎を殺さなかった理由

鬼でありながら深い兄妹愛が描かれた妓夫太郎と堕姫ですが作中では炭治郎と禰豆子の竈門兄妹との対比と思われる描写が多く存在しています。

愛情

一つ目はそれぞれの両親からの愛情です。

炭治郎と禰豆子は両親や兄弟たちから多くの愛情を受け幸せな家庭で育ちました。

無限列車で下弦の壱・魘夢に魅せられた夢の中で炭治郎は亡くなった家族との生活を思い出しながら

「ここにいたいなあずっと」
「振り返ってもどりたいなあ」

と言っています。

鬼の攻撃とわかっていながらも亡くなった家族との生活にすがりたくなるほど炭治郎は多くの愛情を与えられて育ったと言えるでしょう。

父・炭十郎は早くに亡くなっています。

しかし魘夢の夢から抜け出す方法を伝えたりヒノカミ神楽、透き通る世界といった技術について幼い炭治郎に教えていたりと炭十郎の言葉をきっかけに重大な気付きを得る場面は少なくありません。

単十郎の言葉が道しるべとなって炭治郎を導いていく様子からは親子の絆が伺えますよね。

また禰豆子は鱗滝さんにかけられた暗示によって人間を家族だと思い込んでいました。

暗示自体はまやかしと言えますが人間つまり家族を守るために命を賭して戦おうとする気持ちは禰豆子がもともと持っていた感情なのではないでしょうか。

禰豆子もまた家族に深い愛情を与えられていたからこそなんとしてでも家族を守りたいと考えていたと推察できます。

一方妓夫太郎と堕姫は父親がわからず母親には疎まれて育ちました。

先ほども解説したように妓夫太郎は生まれる前から何度も命の危機に晒され堕姫は普通とは違う頭髪や目の色をしていたため気味悪がられていました。

深い愛情をれて育った炭治郎・禰豆子は人間を守りたい大切な存在と感じるようになり、実の親に疎まれて育った妓夫太郎たちは自分たちに害を与える存在だと考えるようになったのではないでしょうか。

幼い頃からの愛情の違いが二組の兄妹を正反対の道へと進ませいる土台になっていると言えるでしょう。

人との繋がり

二つめは人との繋がりです。

どちらの兄弟も他人に窮地を救われています。

炭治郎は水柱・冨岡義勇と出会い鬼殺隊の道に進みました。

妓夫太郎たちは当時上弦の陸だった童磨と出会ったことで鬼となりましたよね。

ちなみにどちらの兄妹も雪の日に瀕死の妹を抱えながら外の世界へ助けを求めるという場面から始まり自らの運命を左右することになる存在の義勇や童磨と出会っています。

また炭治郎たちは鬼殺隊として戦う中でたくさんの人と出会い関わってきたことで精神的に大きく成長しています。

柱をはじめとした鬼殺海の仲間たちや刀鍛冶の里の人々、珠世や愈史郎など立場や種族を超えて交流を深めてきました。

一方の妓夫太郎とだけは上弦の鬼に属してはいますがそれぞれの交流は皆無と言えます。

無惨によって上弦の鬼が招集された際上弦の肆・半天狗は

「呼ばれたのは百十三年振りじゃ」

と言っている事からもをに同士の交流の薄さがわかります。

兄弟二人だけの閉じた世界で生きてきた妓夫太郎たちの心はいつまでも昔のままなのではないでしょうか。

実際に堕姫は100年以上生きているにも関わらず我儘わがままで幼稚な側面が強いですよね。

禰豆子を人間に戻すために生まれ育った家を出た炭治郎と鬼になっても「遊郭」という場所から離れることができない妓夫太郎。

こうした点を見ても人との関わり方の違いは明らかではないでしょうか。

つまり積極的に人と関わってきた炭治郎は多くの仲間を得ただけでなく精神的にも大きく成長したといえるでしょう。

逆に遊郭という限られた場所で兄妹二人だけで暮らしていた妓夫太郎たちは自分たちを支え成長させてくれるような仲間に出会うことができなかったのではないでしょうか。

心のあり方

3つ目は心のあり方です。

禰豆子と堕姫には頼りがいのある兄を持ち人間から鬼になったという共通点があります。

禰豆子は鬼になっても人間を喰らわずそれどころか周囲から冷ややかな目で見られながらも人間の味方として戦い続け心は人間であり続けるいうことを選びました。

兄に頼るだけでなく自ら共に戦おうおうとする意志が見られています。

一方堕姫は10年ごとに顔や名前を変えてまで人間を喰らい続けました。

鬼の強さは喰った人間の数に比例すると言われていることから上弦にまで上り詰めた堕姫は相当な数の人間を喰らってきたのではないでしょうか。

「干からびた年寄りの肉は不味い」
「醜悪で汚いモノを私は絶対食べたりしない」

と発言しているように人間を食べ物として見ているだけは心まで鬼に染まったと言えるでしょう。

また兄の隣で戦う禰豆子とは違って堕姫は常に兄である妓夫太郎に甘えてきました。

堕姫も自ら戦ってはいますが追い詰められ危機に直面した時には必ず妓夫太郎を頼り助けてもらっていますよね。

少なからず兄からの影響を受けていると言える禰豆子と堕姫ですがこうした兄からの影響は二人の髪の色にも表れています。

禰豆子は黒髪に赤い色の毛先これは「赫灼の子」とも呼ばれる炭治郎の赤みがかった頭髪に対応したと言えるでしょう。

一方堕姫は白髪に緑色の毛先をしており兄である妓夫太郎と同じ色が入っています。

禰豆子の黒と赤の髪色と堕姫の白と緑の髪色が反対色の関係になっていることからもワニ先生は意図的にこの二人を対比的に描いていると推察できます。

また炭治郎と妓夫太郎の心のあり方も対照的に描かれています。

誠実でまっすぐな炭治郎は常に弱者の味方であり弱いものが虐げられたり傷つけられていたりした際には自らが矢面に立って戦っています。

例えば鼓屋敷では自身も怪我を負っているにも関わらずをにに兄をさらわれた兄妹の代わりに響凱の棲家に潜入していましたよね。

逆に妓夫太郎は弱者を虐げて奪い取る側と言えるでしょう。

妓夫太郎は堕姫に

「奪われる前に奪え」
「取り立てろ」

と教え育ててきました。

遊郭の最下層に生まれた妓夫太郎にとっては弱者から取り立てることこそが生き残る術だったのかもしれません。

正反対ともいえる炭治郎と妓夫太郎ですがその根底にあるのはどちらも

「妹を守りたい」

という強い想いだと考えられます。

妓夫太郎が炭治郎と対峙した際に罵詈雑言を浴びせながらもすぐに命を絶たなかったのももしかしたら妹を持った炭治郎を自分と重ねていたのかも知れません。

炭治郎が妓夫太郎の頸を斬ろうとした際、一瞬妓夫太郎が炭治郎の姿に変わっており炭治郎は

「その境遇はいつだってひとつ違えば」
「いつか自分自身が」
「そうなっていたかもしれない状況」

と感じていました。

この様子から炭治郎もまた妹もつ兄として妓夫太郎と自分を重ねていた部分があったのではないでしょうか。

「妹を守りたい」という強い想いを抱く妓夫太郎ですが同じ思いを持った炭治郎とは全く異なる運命を辿りました。

もし生まれた環境や関わってきた人々が違っていたら妓夫太郎になっていたのは炭治郎の方だったのかもしれませんね。

 

まとめ

このように遊郭編には妓夫太郎と炭治郎を対比しているような描写が多く存在しています。

炭治郎が初めて討伐した上弦の鬼である妓夫太郎は恐ろしい外見とは裏腹に壮絶な過去と妹への深い愛情をもったとても人間味のある鬼だったと言えるでしょう。

作中で炭治郎が感じていたようにもしかしたら妓夫太郎は炭治郎が歩むかもしれなかった運命を辿った登場人物だったのかも知れませんね。

妓夫太郎と堕姫の絆に感動した!

妓夫太郎は優しい兄貴だ!

と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。

今回は以上です。

 

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