こんにちはエンタメ考察室です。
鬼滅の刃の無限列車編では猗窩座や魘夢が登場しました。
炭治郎たちの行く手を阻み大変強い鬼でした。
今回の遊郭編の鬼は堕姫という花魁の鬼です。
更に階級は猗窩座と同じ上弦の鬼です。
無限列車編は大好評でしたが、遊郭編もクオリティーの高い内容がてんこ盛りです。
まだまだ盛り上がりの衰えることのない鬼滅の刃。
今回はそんな堕姫と妓夫太郎の強さや戦い方、鬼になるまでの過去、遊郭編のボスである堕姫とはどんな鬼なのか?
※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
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目次
堕姫とはどんな鬼?
炭治郎らが初めて討伐した上弦の鬼といえば妓夫太郎と堕姫ですよね。
上弦の鬼が二人一組だと発覚した瞬間は作中でも上位に入る絶望感だったと思います。
また妓夫太郎と堕姫は悲しい過去や兄弟ならではの深い絆が読み取れることで敵ながら高い人気を誇る鬼でもあります。
今回はそんな上弦の陸・妓夫太郎と堕姫について解説していきたいと思います。
また無惨な堕姫についた嘘やあの世の狭間で堕姫だけが人間に戻っていた理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
1.妓夫太郎と堕姫
妓夫太郎と堕姫は上弦の中では唯一の二人一組の鬼です。
妓夫太郎はボサボサの髪にギザギザの歯。
うらめしげな表情が特徴的な鬼で顔や体にはシミのような模様が刻まれています。
血のシミのようなアザ、ギザギザの歯といった特徴は先天性梅毒によく見られる症状であります。
後ほど解説する生い立ちを踏まえるとおそらく母親から感染したのではないでしょうか。
先天性梅毒に感染すると大抵の場合死産となりますが無事に生まれたとしても障害が残るとされています。
妓夫太郎の醜い声や容姿は先天性梅毒による障害が原因なのかもしれません。
卑屈で残忍な性格をしており音柱・宇髄天元の外見の美しさを妬み
死んでくれねえかな」
といった発言をしていました。
一方で妹の堕姫には甘く天元に頸を斬られた妹を慰め顔のヤケドをさすりながら
せっかく可愛い顔に生まれたんだからなぁ」
と優しく語りかけています。
基本的に堕姫の体内に隠れており堕姫が危機に陥ると、姿を現し妹に危害を加える存在を皆殺しにするボディーガードのような役割を担っています。
一方、堕姫は露出度の高い服装と顔に浮かぶ花のような形の模様が特徴的な女性の鬼です。
潜伏先の遊郭で一番人気となるほど美しい容姿をしており公式ファンブックによれば、堕姫の美貌は気の弱い男性なら失神し耳に息を吹きかけられると失禁するほどとされています。
およそ10年ごとに名前や店を変えながら遊郭に潜み続け少しずつ力を蓄えていました。
傲慢でわがままな性格をしており気に食わないことがあると周囲に当たり散らす姿が見られています。
作中で潜伏していた「京極家」では女の子の耳をちぎれかけるほどつまみ上げたり、その行為を指摘した善逸を問答無用で吹き飛ばしたりしています。
また女将であるお三津に
と問い詰められた時には
と開き直っていました。
美醜に対する異様なまでの執着を持っており美しいものだけを喰らい醜いものは絶対に口にしないこだわりを持っています。
特に自身が醜いと感じるものに対しては強い嫌悪感を抱いており初対面の善逸に
死んだ方がいいんじゃない」
と辛辣な言葉を浴びせています。
そんな堕姫の顔には桃色をした花のような形の模様があります。
これはおそらく梅の花ではないでしょうか。
後ほど解説しますが、堕姫の人間時代の名前は梅でした。
桃色の花を咲かせる紅梅の花言葉は「艶やか」とされており遊郭という場所や美に固執するだけにぴったりな言葉と言えるでしょう。
常に美しくありたいという堕姫の強い思いが顔の模様となって表れたのではないでしょうか。
炭治郎が初めて直接戦った上弦の鬼ということもあり、圧倒的な強さと存在感で鬼殺隊を苦しめたものの最終的には炭治郎たちかまぼこ隊、そして音柱・宇髄天元との激闘の末に頸を斬られて消滅しました。
普段は高飛車な言動が目立ち兄・妓夫太郎以外には決して弱みを見せようとしない堕姫ですが、唯一無惨に対して堕姫は頬を赤く染め、まるで特別な感情を抱しているように見える場面がありましたよね。
この時無惨は
お前は特別な鬼だ」
と甘い言葉をかけています。
しかし実際のところ無惨は堕姫を頭の悪い子供だと思っていたことが公式ファンブックで判明しています。
つまり無惨は本心では堕姫を評価していないにも関わらず体の良い言葉をかけることで堕姫のやる気を引き出そうとしていたと言えるでしょう。
一見すると無惨にいいように操られているように見える堕姫ですが、実際は無惨の本心を察していながらあえて何も気づいていない頭の悪い女を演じていた可能性があります。
アニメ版では無惨から顔が見えない体勢になると堕姫の表情は真顔になり頬の紅潮も消えていました。
また堕姫が自身の正体に気づいたお三津に対して言った
気づいたところで、黙っておくのが賢い生き方というものなんだよ
今まで皆そうして生きてきた」
というセリフからも頭の悪い女を演じることができの処世術の一つであることが伺えます。
とはいえ童磨や魘夢など堕姫の他にも無惨に心酔している鬼は多く登場していますし、おそらく無惨の外見は堕姫の基準で言っても美しい部類に入ると思われますので、
堕姫は本当に心から無惨にのぼせ上がっていただけという可能性の方が高いのかもしれません。
2.無惨が堕姫についた嘘
妓夫太郎が使用する血鎌は文字通り自身の血液を鎌として扱う血鬼術です。
鎌といっても使い方は様々で刃を飛ばして離れた敵を攻撃したり、多数の刃を身にまとって広範囲に対応したりと、とても応用の効く術と言えるでしょう。
また妓夫太郎の血には強力な毒が含まれており普通の人間なら、かすっただけでも死に至るとされています。
元忍びで毒に耐性のある宇髄天元ですら禰豆子の解毒がなかったら死んでいたのではないでしょうか。
妓夫太郎は柱を15人も喰らっています。
これだけでもとてつもない強さがうかがえますが、頭の回転が早く戦術眼にも秀でています。
作中では乱戦の中でも的確に妥協援護したり、天元の放った火薬玉の迎撃を察知し瞬時に攻撃の手を止めたりしており、視野の広さがうかがえます。
多大な情報を処理し的確な判断が下せる柔軟な思考の持ち主と言えるでしょう。
堕姫は帯を自在に操る血鬼術を使い、しなやかで鋭利な帯は広範囲を一度に攻撃することができます。
その威力は遊郭の建物をたやすく両断するほどでした。
一見するとただの布に思える帯ですが実際は堕姫の体の一部であり切り離して自らの分身として意思を与えたり、帯の中に人間を閉じ込めたりすることができます。
作中で分かっているだけでも7人もの柱を喰らっており人間社会に紛れながら100年以上もの間討伐されていないことから、一般的な鬼とは比べ物にならないほど高い実力を持っていると言えるでしょう。
妓夫太郎は自身の片目を堕姫の額へ移動させることで妹を操ることができ、堕姫自身も妓夫太郎の目が開いた状態になって初めて本来の力を発揮できるようになります。
鬼舞辻無惨は特に妓夫太郎の強さや境遇貪欲な性格を高く評価していました。
逆に妹の堕姫の実力は認めていなかったようです。
妓夫太郎たちが討伐された後、無惨は
初めから、妓夫太郎が戦っていれば勝っていた」
と発言しています。
こうした言動からあくまで妓夫太郎の強さがあってこその上弦の陸だったのではないでしょうか。
これを裏付けるように猗窩座が煉獄さんを倒したことを報告した際、無惨は、
それを始末したからなんだというのか
鬼が人間に勝つのは当然のことだろう」
と言っています。
これは上弦ならば人間に勝つことは評価に値しないと受け取ることができますよね。
一方、同じ上弦の堕姫には
以前よりもさらに力が増している良いことだ
強い柱を7人葬った特別な鬼だ」
と頑張りを認めています。
堕姫の性格を考えてあえて甘やかしていた可能性もありますが、見方を変えれば無惨は初めから堕姫のことを上弦の陸だとは思っていなかったとも考えられます。
猗窩座ではそもそもの期待値が違ったのではないでしょうか。
だからこそ実力を認めている猗窩座には厳しくそうでない堕姫には甘やかすような発言をしていたのかもしれません。
また妓夫太郎と堕姫の大きな特徴として同時に頸を斬られない限り消滅しないという特性があります。
作中ではそれぞれ炭治郎と天元が妓夫太郎を善逸と伊之助が堕姫を相手にすることで討伐することができました。
仮に天元が炭治郎たちを連れずに任務にあたっていた場合天元一人で上弦の陸を討伐することは難しかったのではないでしょうか
3.悲しい過去
妓夫太郎と堕姫は羅生門河岸と呼ばれる遊郭の最下層に生まれました。
貧しさに加えて外見が見にくかった妓夫太郎は親にすら疎まれながら育ちます。
生まれてくる前に何度も殺されそうになり、生まれてからも邪魔でしかなく何度も殺されそうになった、という妓夫太郎の独白からもいかに生活に困窮した家庭で生まれたのかがわかりますよね。
遊郭というある種見た目の美しさが全てと言える場所において醜い妓夫太郎には生きる価値がありませんでした。
そんな絶望にまみれた人生を救ってくれたのが妹の堕姫です。
人間時代は梅という名前でした。
幼い頃から大人もたじろぐほどの美貌を持っていた梅はやがて遊郭で働くようになります。
一方、妓夫太郎は自分の強さに気がつき取り立ての仕事をするようになりました。
遊郭において客の呼び込みや集金を行うものは「妓夫」と呼ばれ妓夫太郎の名前の由来となっています。
外見の醜さから蔑まされて生きてきた妓夫太郎にとって誰よりも美しい梅はまさに自慢の妹。
その頃には、白梅ちゃんという愛称で呼ばれるようになっていきました。
といえ妓夫太郎はそんな妹のために常に体を張って守ってきました。
公式ファンブック弐では妓夫太郎が幼い梅を守り育ててきた経緯が明かされています。
妓夫太郎たちの母親は梅の髪や目の色が他人と異なることを不気味に思い赤子だった梅をくびり殺そうとしました。
その時は妓夫太郎が助けたことで事なきを得ましたが、その後も母親からの暴力は続いていたようです。
妓夫太郎は醜い自分を慕い頼ってくる梅を何よりも可愛がっていました。
ある時母親が梅の髪を剃刀で切り怒り狂った妓夫太郎が暴れたことをきっかけに親子の力関係は逆転しました。
それ以降母親は妓夫太郎に怯え距離を取るようになったとされています。
このように妓夫太郎は常に梅のために行動し親代わりとなって愛情深く育ててきました。
冷たい雪が降りしきる日に妹を抱きしめながら
寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら
約束するずっと一緒だ絶対離れない
ほらもう何も怖くないだろう
と笑顔で励ましていた妓夫太郎は炭治郎にも負けないほど優しいお兄ちゃんですよね。
そんな妓夫太郎たちが鬼になるきっかけとなったのが梅が客である侍の右目をかんざしで突き刺して失明させた事件です。
侍の報復によって生きたまま焼かれた梅は瀕死の重傷を負います。
妓夫太郎は焼け焦げた妹を抱きながら
と天に向かって叫びました。
そこに現れた童磨が無惨の血を与えたことで2人は鬼の道へと身を落とすこととなりました。
作中では堕姫が妓夫太郎の力を借りることでパワーアップする描写がありましたよね。
この時堕姫の額には妓夫太郎の瞳が移動しています。
これは人間時代に自分がいないところで妹に火を放たれてしまったことから、今度こそ大切な妹から目を離したくないという妓夫太郎の気持ちの表れだと推察できます。
瞳が移動した状態では妓夫太郎は堕姫の肉体を自由に操ることができるものと思われます。
プライドの高い堕姫が自分の体を他人に委ねているあたり堕姫の妓夫太郎に対する信頼度の高さがうかがえますね。
4.炭治郎を殺さなかった理由
鬼でありながら深い兄弟愛が描かれた妓夫太郎と堕姫ですが、作中では炭治郎と禰豆子の竈門兄妹との対比と思われる描写が存在しています。
4.1 両親からの愛情
一つ目はそれぞれの両親からの愛情です。
炭治郎と禰豆子は両親や兄弟たちから多くの愛情を受け幸せな家庭で育ちました。
無限列車で下弦の壱・魘夢に魅せられた夢の中で炭治郎は亡くなった家族との生活を思い出しながら
ずっと」
と言っています。
鬼の攻撃と分かっていながらも亡くなった家族との生活にすがりたくなるほど、炭治郎は多くの愛情を与えられて育ったと言えるでしょう。
父・炭十郎は早くに亡くなっています。
しかし魘夢の夢から抜け出す方法を伝えたりヒノカミ神楽、透き通る世界といった技術について、幼い炭治郎に教えていたりと炭十郎の言葉をきっかけに炭治郎が重大な気づきを得る場面は少なくありません。
炭十郎の言葉が道しるべとなって炭治郎を導いていく様子からは親子の絆が伺えますよね。
また禰豆子は鱗滝さんにかけられた暗示によって人間を家族だと思い込んでいました。
暗示自体はまやかしと言えますが人間つまり家族を守るために命を落として、戦おうとする気持ちは禰豆子がもともと持っていた感情なのではないでしょうか。
禰豆子もまた家族に深い愛情を与えられていたからこそなんとしてでも家族を守りたいと考えていたと推察できます。
一方妓夫太郎は父親が分からず母親には疎まれて育ちました。
先ほども解説したように、妓夫太郎が生まれる前から何度と命の危機にさらされ、堕姫は普通とは違う頭髪や目の色をしていたため気味悪がられていました。
深い愛情を受けて育った炭治郎たちは人間を守りたい大切な存在と感じるようになり、実の親に疎まれて育った妓夫太郎たちは人間を自分たちに害を与える存在だと考えるようになったのではないでしょうか。
幼い頃からの愛情の違いが2組の兄妹を正反対の道へと進ませる土台になっていると言えるでしょう。
4.2 人とのつながり
2つ目は人とのつながりです。
どちらの兄弟も他人に窮地を救われています。
炭治郎は鬼に妹を殺されかけたところを水柱・冨岡義勇と出会い鬼殺隊の道へと進みました。
妓夫太郎は人間に妹を殺されかけたところを当時上弦の陸だった童磨と出会ったことで鬼となりましたよね。
ちなみにどちらの兄弟も雪の日に瀕死の妹を抱えながら外の世界へ助けを求めるという場面から始まり、自らの運命を左右することになる存在の義勇や童磨と出会っています。
また炭治郎たちは鬼殺隊として戦う中でたくさんの人と出会い関わってきたことで精神的に大きく成長しています。
柱をはじめとした鬼殺隊の仲間たちや刀鍛冶の里の人々など立場を超えて交流を深めてきました。
一方の妓夫太郎と堕姫は上弦の鬼に属してはいますがそれぞれの交流は皆無と言えます。
無惨によって上弦の鬼が招集された際、上弦の肆・半天狗は呼ばれたのは113年ぶりと言っていることからも、鬼同士の交流の薄さがわかります。
兄弟二人だけの閉じたコミュニティで生きてきた妓夫太郎たちの心はいつまでも昔のままなのではないでしょうか。
実際に堕姫は100年以上生きているにもかかわらず、わがままで幼稚な側面が強いですよね。
禰豆子を人間に戻すために生まれ育った家を出た炭治郎らと鬼になっても遊郭という場所から離れることができない妓夫太郎たち。
こうした点を見ても人との関わり方の違いは明らかではないでしょうか。
つまり積極的に人と関わってきた炭治郎たちは多くの仲間を得ただけでなく精神的にも大きく成長したと言えるでしょう。
逆に遊郭という限られた場所で兄弟二人だけで暮らしていた妓夫太郎たちは、自分たちを支え成長させてくれるような仲間に出会うことができなかったのではないでしょうか。
4.3 心のあり方
3つ目は心のあり方です。
禰豆子と堕姫には頼りがいのある兄を持ち人間から鬼になったという共通点があります。
禰豆子は鬼になっても人間を喰らわず人間の味方として戦い続けました。
心は人間であり続けることを選びました。
兄に頼るだけでなく時に身を挺して守り自ら共に戦おうとする意志が見られています。
一方堕姫は10年ごとに顔や名前を変えてまで人間を喰らい続けました。
鬼の強さは喰った人間の数に比例すると言われていることから、上弦にまで上り詰めた堕姫は相当な数の人間を食喰らってきたのではないでしょうか。
醜悪で汚いものを私は絶対食べたりしない」
と発言しているように、人間を食べ物として見ている堕姫は心まで鬼に染まったと言えるでしょう。
また、兄の隣で戦う禰豆子とは違って堕姫は常に兄である妓夫太郎に甘えてきました。
堕姫も自ら戦ってはいますが禰豆子とは違って身を挺してまで兄をかばうことはありませんでしたよね。
追い詰められ危機に直面した時には必ず妓夫太郎を頼り助けてもらっています。
堕姫は人間時代、侍の目を突いています。
これは妓夫太郎を侮辱された怒りからでしたよね。
大切な人のために怒れるという点では禰豆子も近い性質を持っています。
禰豆子の弟である竹雄は禰豆子について
そのせいでいつか大切なものを失くしてしまいそうだから怖いよ」
と語っています。
竹雄が危惧していたことを最悪の形で実現したのが堕姫だったのではないでしょうか。
少なからず兄からの影響を受けていると言える禰豆子と堕姫ですが、こうした兄からの影響は2人の髪の色にも表れています。
禰豆子は黒髪に朱色の毛先。
これは赫灼の子とも呼ばれる炭治郎の赤みがかった頭髪に対応したデザインと言えるでしょう。
一方堕姫は白髪に緑色の毛先をしており、兄である妓夫太郎と同じ緑色が入っています。
立場や境遇など様々な面で対比的な関係として描かれている禰豆子と堕姫ですので、髪の色も反対色になっているのではないでしょうか。
また炭治郎と妓夫太郎の心のあり方も対照的に描かれています。
誠実でまっすぐな炭治郎は常に弱者の味方であり、弱いものが虐げられたり傷つけられていたりした際には自らが矢面に立って戦っています。
例えば鼓屋敷では自身も怪我を負っているにも関わらず、鬼に兄をさらわれた兄弟の代わりに響凱の住処に潜入していましたよね。
逆に妓夫太郎は弱者を虐げて奪い取る側と言えるでしょう。
妓夫太郎は堕姫に奪われる前に奪え取り立てろと教え育ててきました。
遊郭の最下層に生まれた妓夫太郎にとっては弱者から取り立てることこそが生き残る術だったのかもしれません。
正反対とも言える炭治郎と妓夫太郎ですがその根底にあるのはどちらも妹を守りたいという強い思いだと考えられます。
炭治郎と対峙した際に罵詈雑言を浴びせながらも、すぐに命を絶たなかったのもひょっとしたら妹を思った炭治郎を自分と重ねていたのかもしれません。
実際、妓夫太郎が炭治郎に向けて放ったセリフにはまるで人間時代の自分自身に対して言っているようなものが存在します。
例えば、禰豆子を守りきれず窮地に陥った炭治郎に対して言った
お前全然妹守れてねえじゃねえか」
という言葉は妹が火をつけられた時にそばにいられず助けられなかった妓夫太郎にも言えることですよね。
鬼の力を得て妹と一つになったことでもう自分は昔の自分ではないお前とは違うんだ。
という思いがあったのかもしれません。
また虫けらボンクラ、ノロマの腑抜け、役立たずというセリフは、少年時代の妓夫太郎が醜い声や要望を嘲られた時に言われていた言葉です。
力のなかった自分が言われた言葉をあえて使っているのはかつての弱い自分を炭治郎に投影していたからではないでしょうか。
そして罵詈雑言を浴びた炭治郎が顔を上げた際に言った
涙が溢れねえようになぁ」
という言葉は丸焦げになって死にかけた梅を見つけた時の妓夫太郎が取った行動でもあります。
かつての自分ですら絶望し天を仰いだのだから弱い炭治郎も同じようにするはずだと考えていたのでしょう。
妓夫太郎が炭治郎に投げかけた言葉の数々はかつての自分自身に向けた言葉でもあるのではないでしょうか。
こうした様子からも妓夫太郎が炭治郎と自分を重ねてみていた可能性は十分に考えられますよね。
炭治郎が妓夫太郎の頸を斬ろうとした際一瞬、妓夫太郎が炭治郎の姿に変わっており、炭治郎はその境遇はいつだって一つ違えばいつか自分自身がそうなっていたかもしれない状況と感じていました。
この様子から炭治郎もまた妹を持つ兄として妓夫太郎と自分を重ねていた部分があったのではないでしょうか。
妹を守りたいという強い思いを抱く妓夫太郎ですが同じ思いを持った炭治郎とは全く異なる運命をたどりました。
もし生まれた環境や関わってきた人々が違っていたら妓夫太郎になっていたのは炭治郎の方だったのかもしれませんね。
5.堕姫が人間に戻っていた理由
炭治郎たちに頸を斬られた妓夫太郎たちはこの世とあの世の狭間と思われる場所で目覚めました。
そこではなぜか堕姫だけが人間の姿に戻っていました。
妓夫太郎については瞳に上弦の陸という文字が刻まれていることから鬼の姿のままであることがわかります。
結論から言ってしまうと自分とは一緒にいない方がいいと考える妓夫太郎と、どんな姿になっても変わらずに一緒にいたいという堕姫の思いの違いが異なる姿として現れたのではないでしょうか。
5.1 理由の一つ目
妓夫太郎は堕姫に対して自分とは一緒にいない方がいいと感じていたことです。
妹の姿を見た妓夫太郎は
と突き放すような言葉を吐いています。
妹に背を向けた妓夫太郎は
と告げました。
妓夫太郎は死後の世界でも鬼の姿のままの自分とは違い、堕姫が人間の姿つまり人を殺めて罪を犯す前の姿で現れたことに、もしかしたら妹だけは天国へ行ける可能性があるのではないかというわずかな希望を見出したのではないでしょうか。
先ほども解説したように妓夫太郎には自分のせいで、妹が道を間違えてしまったのではないかと悔やんでいる様子が伺えます。
自分の存在が妹に悪影響を与えていると感じた妓夫太郎はとにかく堕姫を引き離そうと考えたのではないでしょうか。
人間の姿をして現れた妹を見て情状酌量の余地があると感じた妓夫太郎は、せめて堕姫には少しでも明るい方向に進んで欲しいと考えたのでしょう。
つまり妓夫太郎は自分とは一緒にいない方がいいと思うあまり無意識のうちに自らの外見を鬼に変えていたのではないでしょうか。
妹の人生すら自分のせいだと感じていた妓夫太郎ですので、自らが鬼として地獄に落ちることで妹の罪までも背負おうたと思われます。
5.2 理由の二つ目
堕姫が妓夫太郎に対してどんな姿になっても変わらずに一緒にいたいと感じていたことです。
堕姫はそんな兄の不安を払拭するように
何かに生まれ変わっても私はお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」
と抱きついています。
このセリフからはただただ妓夫太郎と一緒にいたいだけだった堕姫の本心が汲み取れるのではないでしょうか。
堕姫が人間の姿で現れたのは堕姫の妓夫太郎への思いは人間時代からずっと変わっていないことを示しているからだと考えられます。
兄のために侍の目を突いたことはありますが人間時代の堕姫が自らの欲のために罪を犯した描写はありませんよね。
鬼になったのも堕姫の意志ではありませんでしたので、もしかしたら妓夫太郎の予想通りに堕姫は天国へ行ける可能性があったのかもしれません。
どちらにせよ最終的に二人は炎に包まれていることから堕姫も一緒に地獄へ渡ったと言えるでしょう。
妹をおぶって地獄へ渡る妓夫太郎が人間の頃の姿に戻っているのも、妹の本心に気づいた妓夫太郎が自分は妹のそばにいて良いんだと悟ったからではないでしょうか。
また少し違った見方として初めに妓夫太郎が鬼の姿で現れたのは、妓夫太郎に何度生まれ変わっても必ず鬼になるという思いがあったからかもしれません。
一方梅は何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になると言っていましたよね。
梅にとって妓夫太郎の妹であれば鬼でも人でもどちらでも良かったのではないでしょうか。
妓夫太郎もそんな梅の思いやずっと一緒だという約束を思い出したことで、人間の姿を取り戻した可能性があります。
またこれとは異なる解釈として堕姫は妓夫太郎が作り出した分身なのではないかという考え方もあります。
鬼として数々の人間を殺めてきた堕姫ですのでそもそも地獄行きを避けて通ることは難しいのではないでしょうか。
そう考えると堕姫は鬼としての罪を犯す前、つまり人間時代にすでに亡くなっており、妓夫太郎が死んだことで魂同士が再会を果たしたという可能性もありえます。
2人を鬼にした童磨はお前らに血をやるよと発言していることから、堕姫はこの時点では生きていたと思われます。
ひょっとしたら無惨の血に耐えきることができたのは妓夫太郎だけであり、堕姫は血の力に耐えきれずに生きていたのではないでしょうか。
妹を助けるために鬼になったはずがすでに妹が死んでいるという事実を、受け入れられなかった妓夫太郎が自身の血肉から堕姫という分身を生み出したとしても不思議ではありません。
妓夫太郎は作中で一度も妹を堕姫とは呼んでいません。
むしろ堕姫という名前をひどい名前だと感じていました。
妓夫太郎にとって自身の妹は人間時代の梅であり堕姫は偽りの存在だということを暗に示しているのかもしれません。
堕姫が妓夫太郎から生まれたとするならば頸を同時に斬らなくてはいけない特性にも納得がいきます。
またそれぞれに意思があり別々の個体であるならば上弦たる実力を持つ妓夫太郎だけが上弦の陸の称号を授かるのが自然ではないでしょうか。
無惨は堕姫の実力を認めていない節がありますのでなおさら妓夫太郎よりも劣る堕姫に上弦の陸の称号を与えているのは違和感があります。
仮にこの説が正しかった場合人間時代にすでに亡くなっていた梅の魂は100年以上もの間、兄を待ち続けていたことになります。
鬼としての罪を犯していない梅は本来天国へ行けるはずですが、それでも大好きな兄と同じ地獄へ落ちる道を選んだという解釈もできるのではないでしょうか。
実際に累の家族も罪を犯していないにも関わらず一緒に地獄に落ちていましたよね。
とはいえ禰豆子の爆血によって燃やされた堕姫が、人間時代に火を放たれた時の記憶を思い出している点やは死後の世界で妓夫太郎に対して、さっきのことを起こったの死の間際に兄を罵倒したことを誤っている点から妓夫太郎の分身ではなく、
堕姫自身も鬼化していると考えるのが妥当かもしれません。
作中で初めて討伐された上弦の鬼ということもあり多くの読者に強い印象を与えた妓夫太郎と堕姫。
同じ兄弟同士ということもあり炭治郎と禰豆子との対比が数多く散りばめられていました。
育った環境や出会った人々の違いこそあれ肉親を思う気持ちはどちらも変わらないことがよくわかりますよね。
まとめ
妓夫太郎と堕姫の最後に涙した沢城みゆきさんの演技力に圧倒されたと思った人は大勢いると思います。
今後も鬼滅の刃の素晴らしさを伝えるべく紹介していきますのでよろしくお願いします。
今回は以上です。
また次の記事でお会いしましょう。
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