こんにちはエンタメ考察室です。
不死川実弥は鬼殺隊最強の柱の一人で風の呼吸の使い手である風柱です。
初登場時はその血走った目と傷だらけの体、さらに禰豆子を躊躇なく突き刺す凶行から第一印象はかなり怖かったですよね。
しかし実弥の言動や行動には鬼のせいで大切な人たちを失った辛い経験が関係しています。
今回は不死川実弥の壮絶な人生について解説していきたいと思います。
また最終決戦で無惨の体を縦に両断し火を放って攻撃した理由についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
1.不死川実弥
実弥は7人兄弟の長男で両親のもとで暮らしていました。
父親はろくでもない人物だったようでよく家族に暴力を振るっていたと回想しています。
かなり大柄で体が頑丈な父親でしたが周囲の恨みを買って刺されて死んでしまい不死川家は母子家庭となったのでした。
実弥はこの父親をよく思っていなかったようですが父親の頑丈な体質を受け継いでおりそれが鬼殺隊の剣士としての強みにも繋がっていると思います。
父親にの鋭い目つきや柄の悪そうな言動そして柱になるほどの剣の実力が相まって隠や下位の剣士からは畏怖の対象になっているようです。
自分に謝ろうとする玄弥を冷たく突き放す場面ではとても弟に対するものとは思えないほど怖い顔をしています。
自分は呼吸を使えないから鬼を喰ってまで強くなろうとしたと打ち明ける玄弥に怒り狂って目潰しをしようとするところはやりすぎと思えるほど凶暴ですよね。
しかしそんな玄弥に対する冷徹な態度の裏には弟の命を守りたいという強い決意が秘められています。
小説版・風の道しるべで実弥にはもし玄弥が鬼殺隊に入ると言い出した場合に
「例え半殺しにしてでも」
と考えていました。
一方で玄弥が生きていてくれることが幸せでいてくれることが実弥にとって生きる意味になっていることや
拒絶する以外にアイツを守る術を知らないから」
といった胸中も明かされています。
このことから実弥が過剰なまでに玄弥を否定するのはたとえ弟に嫌われたとしても鬼殺隊から引き離し幸せな人生を歩んでほしいという想いがあるからだと考えされます。
公式ファンブックによると実弥には「泣いた赤鬼を地で行くような人」と紹介されています。
この童話に登場する青鬼は友人の赤鬼のために自分が悪者になり姿を消しました。
大切な人を守るためなら自分は悪者になっても一向に構わないというところが実弥にそっくりということでしょう。
狂暴な側面が目立つ実弥ですが本来はとても面倒見がよく優しい性格をしています。
最終決戦で視力を失った栗花落カナヲのために視力を補助できるよう蛇の鏑丸を贈ったり炭治郎が送った手紙のお礼にこっそりとおはぎとお茶を差し入れてくれたりしていました。
常に怒っているように見える実弥ですがただ自分の気持ちを素直に表現するのが苦手で不器用なだけなのかもしれませんね。
ちなみにおはぎは実弥の好物です。
鼻の効く炭治郎は稽古中に実弥の屋敷に漂う甘い匂いで気付いたようです。
強面な外見と甘いものが好きという可愛い一面その差に驚いた方もいるのではないでしょうか。
実弥が嫌っている水柱・冨岡義勇の前でそのことを暴露した炭治郎を思わず殴ってしまいましたが照れ隠しである可能性が高そうです。
2.鬼化した母親
そんな不死川実弥の壮絶な人生を振り返っていきたいと思います。
実弥の人生における大きな転機となったのが母親が鬼になったことでした。
父親の死後、母親は小柄な体格ながら家族のために朝から晩まで働きました。
そんな母親の姿を見た実弥と玄弥は
と約束を交わします。
実弥は亡き父に変わり弟たちの面倒をよく見ていたようです。
小説版・片羽の蝶ではまだ仲が良かった頃の実弥と玄弥のやり取りが書かれていました。
妹を馬鹿にされ大家の息子を殴ってしまった玄弥は
「住むところを追い出されるかもしれない」
と不安になります。
自分が我慢できなかったばかりに家族に迷惑をかけることが怖かったのですね。
しかし実弥には玄弥を責めたりせず
「胸を張れよ」
と言って笑いかけました。
玄弥はそんな実弥に対して
「きっとこんな感じだったんだろう」
と感じていました。
ある日兄弟たちが鬼に襲われる事件が起きます。
実弥弥は家族を守るために必死で鬼と戦いました。
ところが実弥が戦っていた鬼は母親だったのです。
実弥の持つ「稀血」の効果で酩酊した母親はそのまま陽の光を浴びて死亡してしまいました。
という約束を守るために戦った結果、実弥には最愛の母親を失ってしまったのです。
さらにそこへ駆けつけた玄弥が血まみれで倒れる母親と包丁を手にした実弥を目撃してしまいます。
実弥が母親を殺したと勘違いした玄弥は家族を守ろうと戦った実弥に向かって
と責め立てました。
この出来事を機に実弥と玄弥の間には壁のようなものができてしまいます。
家族を失った実弥には鬼殺隊に入るまでの間たった一人で鬼を殺して回ることになります。
治安の悪い場所を駆けずり回り自傷して流した「稀血」で酩酊状態にさせた鬼を捕縛し日光に当てるという自殺行為とも言える方法で戦っていました。
実弥の全身に傷があるのは鬼殺隊に入る以前から自分の体を傷つけ続けていたからだと考えられます。
実弥弥といえば柱合会議で竈門兄妹相手にブチ切れていた印象が強いですよね。
この時実弥は問答無用で禰豆子を突き刺したり自身の腕を斬りつけて出血させわざと禰豆子に襲わせようとしたりと凶行に走っています。
鬼殺隊の当主である産屋敷耀哉が竈門兄妹を容認する旨を説明しても
「人間ならば生かしておいてもいいが鬼は駄目です」
「承知できない」
と血が出るほど歯を食いしばっていました。
こうした言動には実弥に自身が鬼化による「人格的変化」を目の当たりにしているという背景があると考えられます。
家族思いで優しかった母親が鬼になった途端何の迷いもなく家族を襲った事実が
という発言に繋がっているのではないでしょうか。
かつて鬼化した母親は実弥にとって「最も信頼する人物」だったと言えます。
そんな母親が家族を襲ったことで実弥の中で
という理解の仕方をしている可能性はありますよね。
禰豆子が人を喰わないようにということを認めてしまえば
・人を喰った自分の母親は何だったのか
・なぜ母親は人を喰ってしまったのか
といった思考に陥ってしまう自覚があったのかもしれません。
自分の母親ですら心まで鬼と化したのだから他人の鬼なんて絶対に信用できない柱合会議の凶行には実弥の深い家族は故の複雑な心境が影響していたのではないでしょうか。
3.粂野匡近
次に粂野匡近の死について考察していきたいと思います。
実弥が鬼殺隊に入る直接的なきっかけとなったのは親友・粂野匡近との出会いでした。
匡近は実弥によりも先輩の鬼殺隊士で母親の死後、自身の「稀血」で酔わせた鬼を殺して回っていた実弥を育手のもとへと導いた人物です。
はじめの頃こそお節介な匡近を鬱陶しく感じていた実弥ですが邪険にされても臆することなく接してくる匡近をいつしか友として受け入れるようになっていきます。
入隊当初は「粂野」と呼んでいた実弥にですが階級が甲になる頃には「匡近」と下の名前で呼ぶほどの仲になっていました。
また久しぶりに共同の任務を命じられた際には軽口を叩き合いながら穏やかな笑みを浮かべる姿もありました。
実弥にとって匡近は兄弟子であり親友でもあり兄弟のように心を許せる大切な存在でした。
そんな匡近が柱に昇格する決め手となった任務で殉職しています。
当時の下弦の壱・姑獲鳥と対峙し力を合わせて追い詰めました。
しかし頸を斬る寸前鬼の洗脳を受けた少女が姑獲鳥を庇います。
匡近は放った斬撃が少女に当たらないように逸らしますが隙を突かれて姑獲鳥に腹部を貫かれてしまいました。
匡近はこの傷が原因で他界し生き残った実弥には十二鬼月を討伐したことで柱に昇格します。
匡近にはどことなく正確が炭治郎に似ている部分があります。
小説ではお節介に嫌気がさした実弥と匡近が口論になる場面がありました。
匡近は後輩である実弥に暴言を吐かれても全く気にする素振りがなく
と言われた際には
「それなら平等だろ?」
と返しています。
悪意ある言動や皮肉をそのままの意味で受け取りがちなところが炭治郎に重なると思いませんか。
もしかしたら実弥が炭治郎と距離を置いていたのは匡近のことを思い出してしまうからだったのかもしれませんね。
また匡近はその優しさゆえに命を落とすことになりました。
実弥は小説で
「仲間をかばおうとする奴だから」
「その優しさが弟の命を奪うくらいなら」
「自分はどれほど恨まれ憎まれても構わない」
と心に決めています。
実弥が玄弥に必要以上にきつく当たっていたのは何よりも大切な弟を優しさが原因で亡くなった匡近の二の舞にはしたくなかったからではないでしょうか。
実弥の母親もまた優しい人間でしたので実弥には優しい人間を二人も亡くしたことになりますよね。
実弥はこれ以上全員が不幸になる姿を見たくなかったのかもしれません。
4.お館様の死
実弥の人生において大きな影響を与えた人物の一人として産屋敷耀哉がいます。
初めて柱合会議に参加した際、実弥には耀哉に
「使い捨ての駒としか思ってねェくせに」
と悪態をつきました。
これは当時の実弥が耀哉を自分の手を汚さず安全圏から偉そうに命令を下しているだけだと思っていたからですね。
ともに十二鬼月を倒した匡近が死んだのに自分一人が柱に昇格したことに反感を覚えていた部分もあったのではないでしょうか。
実弥からすれば生き残った自分だけが評価されまるで
と言われているように感じたのかもしれません。
しかし耀哉から
と親友の死について触れられさらに
「尚更つらかったろう」
と二人の関係性にまで言及されたことで実弥には大きな衝撃を受けます。
耀哉は亡くなった隊員の名前や生い立ちを全て記憶しているほど隊士を大切に思っており決して使い捨ての駒などではなかったと知り考えを改めました。
実弥は耀哉に対して
と語っています。
もし実弥が耀哉と母親を重ねていたとしたら母親を自らの手で殺した過去を持つ実弥にとって耀哉は
だったのかもしれません。
炭治郎が裁判にかけられた時、実弥は耀哉に
益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
と言っていました。
直前までの粗暴な態度が嘘のようにとても丁寧な言葉遣いです。
実弥が耀哉を尊敬していることがよくわかりますね。
また無惨な産屋敷家を襲撃した際の回想では実弥が悲鳴嶼さんに
と進言しています。
さらに耀哉が自爆した後には
と呆然とする姿があり涙を流していましたよね。
柱就任後、実弥がここまで悲しみを露わにしたのは弟の玄弥が切り刻まれた時を除けばこの時だけです。
もし実弥が耀哉と母親を重ねていたとしたら彼の心情は
という落胆と憤りでいっぱいだったのではないでしょうか。
こうした様子からいかに耀哉が実弥にとって大切な存在だったのかが伺えますよね。
5.玄弥との別れ
不死川実弥、悲鳴嶼行冥、時透無一郎の柱三人と共に挑んだ上弦の壱・黒死牟との戦い鬼を喰うことで一時的に鬼になれる体質を持つ玄弥は黒死牟の体の一部を喰らうことで鬼化し柱たちを援護しました。
黒死牟の攻撃により体を両断された玄弥ですが柱への対処に集中した黒死牟の隙をついて血鬼術を放ちます。
玄弥の血鬼術により黒死牟は体の自由を奪われ術を放つことができなくなりました。
玄弥の援護が逆転の一手となったものの体を両断された玄弥はそのまま亡き者となりました。
玄弥は実弥にとって何よりも大切な家族でした。
黒死牟との戦いで致命傷を受けた玄弥が消えかかっている際、実弥は
「どうかどうか」
「弟を連れて行かないでくれ」
「お願いだ!!」
と崩れていました。
実弥弥の冷たい態度は全て玄弥を鬼殺隊から遠ざけ平穏で幸せな人生を歩んでもらいたいからでした。
たとえ嫌われたとしても守りたいと思っていた弟が自分を残して目の前で消えていったのです。
弟を失った実弥の怒りと悲しみは計り知れませんよね。
そんな実弥の複雑な気持ちが現れているのが無惨との戦いです。
黒死牟を討伐後、無惨との戦いに参戦した実弥にはまるで人形のように無機質な表情で感情が読み取れません。
実弥はどちらかといえば感情が表に出やすい人柄でしたので無表情な実弥に驚いた方も多いのではないでしょうか。
これはおそらく実弥が「最も守りたかったもの」を全て失ってしまったからだと考えられます。
実弥務が大切に思っていた存在といえば
・久米野匡近
・産屋敷耀哉
ですよね。
しかし無惨と対峙するまでに実弥はその全てを失っています。
実弥の中にはすべての元凶である無惨への怒りと大切な人を奪われた深い悲しみそして何一つ守ることができなかった自分への憤りが入り混じっていたのではないでしょうか。
強い感情が複雑に入り混じったことで実弥自身心の整理がついていなかったのかもしれません。
しかしそんな状態でも無惨に刃を向けることができたのはせめて「柱」として無惨を討伐しなくてはならないという思いゆえだったのでしょう。
また実弥の強い怒りが読み取れる行動として無惨に放った攻撃が挙げられます。
無惨との戦いに参戦した際には無惨の体を縦に両断しています。
これは弟玄弥の死に様と酷似していますよね。
玄弥と同じ目に遭わせることで弟の復讐をしたのではないでしょうか。
さらにその直後には無惨の体に火を放っています。
これは無惨もろとも自爆した耀哉の死に様を彷彿とさせます。
高い再生能力を持つ無惨に炎での攻撃は有効ではないことは実弥にも自覚していたと思います。
しかし黒死牟戦で炎を使っていない点を踏まえるとあえて無惨に対して炎という攻撃手段を使った可能性はありますよね。
ここも耀哉と同じ目に遭わせることで復讐を果たしたのではないでしょうか。
実際、実弥がどこまで意識していたのかは分かりません。
しかし作中の登場人物の中でも特に愛情深い人物と言える実弥ですので死者を思う気持ちが無意識のうちに体を動かしていたとしても不思議ではありません。
まとめ
実弥の風貌や言動から一見すると粗暴で自己中心的な性格に見られがちです。
しかし実弥際はとても家族思いで愛情深く自分の本心を素直に表現するのが苦手なだけということがわかりましたよね。
そんな不器用さも実弥の魅力の一つではないでしょうか。
不死川実弥のことがもっと好きになった人はまた次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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