こんにちはエンタメ考察室です。
無惨や柱たちなど多くの最強に匹敵する人物が登場する本作の中でも突出した才能と実力を兼ね備えている剣士といえば継国縁壱ではないでしょうか。
炭治郎の先祖である炭吉や鬼舞辻無惨、黒死牟といった重要な登場人物と深い関わりを持った物語全体を通しての重要人物と呼べる存在です。
普段は感情を表に出さない縁壱がすみれを抱き上げ涙を流した場面に胸を打たれた人も多いのではないでしょうか。
今回は「始まりの剣士」継国縁壱について解説していきたいと思います。
また縁壱の壮絶な過去や
という発言の真意についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
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1.継国縁壱
縁壱は額の「痣」と耳飾りが特徴的な男性で「始まりの呼吸の剣士」とも呼ばれる戦国時代の剣士です。
穏やかで物静かな性格をしておりあまり感情を表に出すことがありません。
後述する幼少期の経験から極端に口数が少なく何を考えているのか分かりにくい側面があります。
しかしあくまで感情を表に出すことが苦手なだけであり家族との日常を幸せと感じたり辛い出来事に心が傷ついたりといったごくごく当たり前の感性も持ち合わせています。
戦国コソコソ話によれば妻・うただけは縁壱の表情以外でも感情の動きを感じ取ることができたとされ顔が変わらなくても心を通じ合わせることに問題がなかったそうです。
またうたから見た縁壱は「のんびりした人」という印象で雷が落ちても微動だにしなかったことから地蔵の精か座敷童子かと思った時期もあったそうです。
動物や虫にも好かれるようで鳥や狸、狐などが寄ってくることもあったとされています。
「はじまりの呼吸」とも呼ばれる最強の呼吸「日の呼吸」を生み出した人物であり水の呼吸や炎の呼吸といった全集中の呼吸はすべて縁壱「日の呼吸」から派生したものです。
「日の呼吸」のほかにも発現することで鬼に匹敵する身体能力を得る「痣」や相手の体が透けて見えるようになる「透き通る世界」といった強力な能力を全て修得している最強の剣士と言えるでしょう。
剣の実力も高く7歳で初めて剣を握った時には成人男性を一方的に打ち倒しています。
また最強の鬼・鬼舞辻無惨と対峙した際には紙一重の差ではありましたが無傷で無惨を戦闘不能にまで追い込んでいます。
さらに80歳という高齢になっても全盛期と同等の剣術を披露し上弦の壱・黒死牟を驚愕させました。
あらゆる能力が高くまさに作中屈指の特別最強の人物といえる存在です。
2.悲しい過去
唯一無二の才能に恵まれた縁壱ですがその生涯は悲哀に満ちたものでした。
不吉とされる双子の弟として生まれたことに始まり父親には忌み嫌われ双子の兄・巌勝とは着るものや食べ物部屋などに大きく差をつけられて育ちました。
唯一愛情を注いでくれた母親とも縁壱が7歳の時に病気で死別しています。
家を出た縁壱は「うた」という女性に出会いやがて夫婦となります。
縁壱の子を身籠ったうたでしたが縁壱が家を空けている間に鬼に襲われお腹の子供もろとも亡くなってしまいました。
その後鬼狩りとなり全集中の呼吸を広めたり人々のために鬼と戦ったりと尽くしてきた縁壱でしたが鬼舞辻無惨を討ち漏らしたことや兄・巌勝が鬼となったことが原因で鬼殺隊を追放されてしまいます。
最終的に実の兄である巌勝と斬り合い寿命を迎えてこの世を去りました。
常人とは異なる多くの才能を持っていた縁壱は常に他人との間に疎外感を感じながら生きていました。
母親、妻子、鬼殺隊と縁壱はその生涯で3回も場所を失くしたと言えるでしょう。
孤独な人生を送ったように思える縁壱ですが短い時間ながらも妻・うたと過ごした時間に幸せを感じていたようです。
うたと縁壱は縁壱が母親の死をきっかけに家を出た旅先で出会いました。
流行り病で家族を亡くしたうたと家を出た縁壱は生活を共にするようになります。
縁壱にとってうたは多くのものを与えてくれた存在だったと言えますね。
縁壱はうたとの交流を通して自分と他人では世界の見え方が違うことを知りました。
今まで生物の体が透けて見えることが当たり前だと思っていた縁壱はここで初めて自分が感じていた疎外感の正体に気付くことができました。
人とは違う感覚を持つ縁壱に対してもうたは分け隔てなく接し一緒に手を繋いで歩いてくれる存在でした。
縁壱はうたを
私の手をしっかりと繋いでくれた人だった」
と語っています。
これは常に孤独を感じ行くあてもなく彷徨っていた縁壱の心をうたが幸せへと導いてくれたという意味なのではないでしょうか。
単行本掲載の戦国コソコソ噂話では縁壱がうたと手を繋いで歩く田んぼや畑への行き帰りの道をとても幸せに感じていたことが明かされています。
また作中で縁壱は
小さな家がいい
布団を並べて眠りたい
愛する人の顔が見える距離
手を伸ばせばすぐに繋げる
届く距離」
とも語っていました。
幼い頃から忌み嫌われ満足な愛情を受けないまま家を出い縁壱にとって
こそが何よりも価値あるものだったのではないでしょうか。
炭治郎が先祖である炭吉の記憶を見た時も縁壱は炭吉に対して
幸せそうな人間を見ると幸せな気持ちになる」
と告げています。
また妻子を失い鬼殺隊を追放された縁壱は
お前とすやこの顔だった」
とも言っています。
これは縁壱の夢だった
を過ごしていたのが炭吉とその妻・すやこだったからではないでしょうか。
もしかしたら縁壱はかつてうたと過ごした幸せな日々を炭吉夫婦と重ねていたのかもしれませんね。
また最終的に敵対関係絵となった兄・巌勝との間にも深い絆が読み取れます。
忌み子と呼ばれ幼い頃はたった3畳ほどの狭い部屋しか与えられず孤独な時間を過ごしていた縁壱ですが巌勝はたびたび縁壱のもとを訪れて面倒を見ていたようです。
それは同情や憐れみといった感情からくる行動でしたが家族との何げない日常を夢みていた縁壱にとっては何よりも嬉しいことだったのではないでしょうか。
戦国コソコソ話では縁壱は2歳のときに父親から
不吉な子供だ
継国家に災いをもたらすだろう」
と告げられていたことが明かされています。
この一件以降縁壱は家族に災いが降りかからないように誰とも口を利かず自分という存在を可能な限りないものとしていました。
そんな縁壱が突然
と言い出し巌勝の稽古中にわざわざ
と訴えたのはひとえに兄・巌勝に寄り添い支えられる人間になりたいと感じたからだと思われます。
実際縁壱が侍を目指すようになったのは
という巌勝の夢を知った後でしたよね。
さらに縁壱は
俺はこの国で二番目に強い侍になります」
と続けています。
圧倒的な力を持っていた縁壱ですが決して一番になりたかったわけではなくただ大好きな兄と一緒にいたかっただけなのではないでしょうか。
縁壱と巌勝の絆を表すものとして巌勝が縁壱に贈った手作りの笛があります。
この笛は父親に
と殴られた巌勝が
すぐに兄さんが助けにくる
だから何も心配いらない」
と言って贈ったものです。
後に縁壱は
どれだけ離れていても挫けず日々精進致します」
と語っています。
生まれてすぐに自分の存在を否定され
と感じていた縁壱にとって父親に叱られてもなお自分を励ましてくれた巌勝はまさに英雄のような憧れの存在だったのではないでしょうか。
縁壱はそんな兄のようになりたいと思い兄との縁を感じることができる笛を生涯大切にしていたと考えられます。
そう考えると家族を失い独りぼっちだったうたに縁壱が声をかけたのもかつて同じように孤独だった自分を励ましてくれた兄の行動をなぞっていたのかも知れませんね。
また炭治郎の先祖である炭吉夫婦のもとを訪ねた縁壱は炭吉の娘であるすみれを抱きしめながら泣く場面が描かれています。
これはすみれとかつて生まれるはずだった自分の娘が重なって見えた部分があるのではないでしょうか。
縁壱にはうたが鬼に襲撃された時なぜ自分はその場にいなかったのかという後悔や本来なら自分の娘もすみれのように元気に育っていたのかも知れないという悲観的な感情があったと思われます。
しかし元気に笑うすみれを見て自分が炭吉とその妻・すやこを鬼から救ったことで守られた命があるということを実感したのではないでしょうか。
縁壱の涙には過去への後悔とこんな自分にもまだ救える命があるという希望の感情が入り混じったものだと推察できます。
3.長寿
次に縁壱だけが80歳まで生きることができた理由について考察していきます。
作中では「痣」に覚醒した「痣者」と呼ばれる存在は例外なく25歳までに亡くなってしまうとされていました。
黒死牟によれば痣の発現による肉体の強化は寿命の前借りでありどんなに鍛錬しても早死にする運命にあるそうです。
しかし作中で唯一縁壱だけが25歳を過ぎても死なず最終的には80歳まで生きて天寿を全うしました。
その理由として縁壱が生まれついての痣者だったことが考えられます。
縁壱とその他の痣者の大きな違いとして痣が先天的なものか後天的なものかという点が挙げられると思います。
痣の発現には
心拍数200以上
という条件がありましたよね。
縁壱は生まれつきこれらの条件を満たしていたと言えるのではないでしょうか。
最初から条件を満たした状態で生まれてきた人間と本来は適用していないにも関わらず努力によって強引に条件に当てはめた人間とでは後者の方が肉体へ与える負担が大きいと考えられます。
つまり縁壱は痣に適用した肉体で生まれてきたため25歳を超えても生き続け最終的に80歳で天寿を全うできたと言えるでしょう。
4.「道を極めた者」の真相
最後に縁壱が炭吉に語った
という発言の真意について考察していきます。
結論
を説いているのではないでしょうか。
次にその理由を述べていきます。
一つ目の理由は縁壱と巌勝の会話です。
かつて共に鬼殺隊として活躍していた縁壱と巌勝のやりとりの中で後継者について話す場面がありました。
自分たちを特別な存在だと感じていた巌勝は自分たちに匹敵する後継者がいないと縁壱に語っています。
しかし縁壱は
長い長い人の歴史のほんの一欠片」
と言いさらに
今この瞬間にも産声を上げている
彼らがまた同じ場所まで辿り着くだろう」
と語りました。
作中でも最強に匹敵するの実力を持っていた縁壱ですがこれから先の長い歴史の中で自分たちよりも才能に恵まれた人材は必ず現れると断言しています。
父や兄・鬼殺隊の剣士たちとたくさんの人間に裏切られ傷ついてきた縁壱ですがそれでも決して人を恨むことはありませんでした。
それどころか自分が無惨を取り逃がしたことで多くの人間が犠牲になることを
と嘆いています。
このことから縁壱が「人」そのものを深く愛していたことが分かりますよね。
巌勝に増えをもらったことや妻であるうたとの交流から人が人に与える力の偉大さを知ったのかも知れません。
「人」を愛し「人」を信じていた縁壱だからこそいつか必ず人が鬼を打ち倒す日が来るとと確信していたと思われます。
つまり大切なのは後継者を作ることそのものではなく想いや技術を通して生まれる「人」同士の「縁」だと言いたかったのではないでしょうか。
そう考えると人をやめ自らの子孫をも斬りつけて人の想いを挫こうとし虚無感の中で消えていった黒死牟とは正反対の道に辿り着いたと言えるでしょう。
二つ目の理由は縁壱でも倒せなかった無惨を炭治郎たちが打ち倒したことです。
「日の呼吸」「痣」「透き通る世界」といった特殊とも呼べる能力を持つ縁壱は作中最強の剣士と言えます。
しかしそんな縁壱でも無惨を倒すことはできませんでした。
無惨を直接追い詰めたのは炭治郎や柱をはじめとする鬼殺隊ですがその背景には協力者である珠世と愈史郎や日輪刀を鍛えた刀鍛治、隠や藤の花の家紋の家など多くの人間の支えがありました。
どの人物が欠けても無惨の討伐には至らなかったと思われ数え切れないほどの「縁」があってはじめて宿敵・無惨を葬ることができたと言えるのではないでしょうか。
たとえ一人ひとりの力が弱くてもたくさんの人間が手を取り合えば縁壱という絶対的な力を持つ人間すらなし得なかったことができるようになると証明されました。
大正コソコソ噂話では「縁壱」という名前は人と人との繋がりを何より大切にと願い母・朱乃が付けたとされています。
また鬼滅の刃という物語は「壱」つまり縁"壱"から始まった縁や想いが「十」つまり炭"十"郎まで受け継がれ炭"治"郎が「治める」つまり終結させるという伏線になっているとも考えられます。
3つ目の理由は産屋敷耀哉の発言です。
鬼殺隊を取りまとめていた産屋敷耀哉も
人の想いこそが永遠であり不滅なんだよ」
と言っていることから縁壱と同じ考えに至っていたのではないでしょうか。
これは無惨が産屋敷家を襲撃した際に自らを永遠に生きる不滅の存在だとかたる無惨に対して耀哉が告げた言葉です。
産屋敷耀哉は続けて
可哀想な子供たちは大勢死んだが
決して無くならなかった」
とも言っています。
これは言い換えればいくら人々の命を奪い続けたとしても
・鬼を打ち倒したい
・人々を救いたい
という想いまでは消し去ることができないという意味ではないでしょうか。
実際に縁壱や煉獄さんといった人たちの意志や想いを引き継いだ結果、炭治郎は鬼のいない世界を実現させることができたと言えるでしょう。
以上の3点から縁壱の
という言葉にはどんなに道を極めようと一人の力には限界があり本当に大切なのは人と人を繋ぐ「縁」と想いを継承していくことだという意味が込められていると推察しました。
まとめ
作中最強の剣士であり全ての呼吸を生みだした人物でもある継国縁壱。
誰もが羨むような特別な才能に恵まれた縁壱ですが彼が追い求めていたのは愛する家族との温かな日常でした。
現世に転生したうたと縁壱には絶対に幸せになって欲しい!
と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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