明るい性格とド派手な技の数々で炭治郎を鼓舞してくれた頼れる兄貴分といえば音柱・宇髄天元ですよね。
上弦の鬼は人の手で討伐できることを作中で初めて証明した柱であり無限列車編で煉獄さんを失った悲しみに打ち拉がれていた読者にとってはまさに希望の光となった登場人物と言えるでしょう。
今回はそんな音柱・宇髄天元について解説していきたいとおもいます。
またアニメ版遊郭編の序盤で描かれたお墓は誰のものなのかという点や天元が妓夫太郎に言い放った
という台詞の真意についても考察しているのでぜひ最後までお楽しみください。
1.宇髄天元
宇髄天元は輝石で装飾された額当てと左目に施した花火のような化粧が特徴的な男性です。
鬼殺隊最強とされる柱の一人であり音の呼吸を使う音柱です。
とにかく派手なことが大好きで作中では自らを
「派手を司る神」「祭りの神」
と名乗っていました。
化粧落とした素顔はかなりの美形であり美しさが大きな有利となる遊郭の女将ですら顔を赤らめるほどでしたよね。
性格は傲慢であり炭治郎たちに
と言い放つなど俺様主義な部分があります。
一方で「雛鶴・須磨・まきを」の3人の妻たちを何よりも大切に想っており
他の何をおいてもまず俺のところへ戻れ
任務遂行より命」
と言い聞かせています。
また横柄な態度の裏には天元なりの優しさや面倒見の良さが垣間見られています。
小説版・片羽の蝶では特別訓練と称して善逸に温泉を掘らせていました。
素人が簡単に温泉を掘れるわけもなく一見すると単なる嫌がらせにも思える天元の指示ですが実際は隙があればサボろうとする善逸の基礎体力を向上させることが目的だあったことが明かされています。
またいつまでも温泉につかっている伊之助に
と声をかけるなど随所に面倒見の良さが見られました。
天元が使用する音の呼吸は二振りの日輪刀と爆薬を組み合わせた天元独自の呼吸です。
公式ファンブック・弐によれば音の呼吸は体術と剣術を組み合わせた技が多く走力・跳躍力といった能力が重要とされています。
また爆発を伴う広範囲に渡る技であることから周囲の状況を把握する観察眼と技巧の緻密さが求められると言えるでしょう。
ここでは天元が柱の中でどのくらいの強さなのかについて考察していきたいと思います。
結論
のではないでしょうか。
痣
理由の1つ目は天元が「痣」に覚醒していない点です。
柱の多くは上弦の鬼との戦いの中で「痣者」として目覚めています。
しかし天元は「痣者」として目覚める前に現役を退いており遊郭編以降は戦線に復帰することがありませんでした。
「痣」は寿命と引き換えに上弦の鬼と対等に渡り合えるほどの身体能力を得ることができます。
つまり「痣」に覚醒した柱に比べれば天元の能力は劣っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
とはいえヒノカミ神楽をうまく扱えない炭治郎や火雷神を修得していない善逸など最終決戦のときと比べて未熟だったかまぼこ隊を庇いながら上弦の陸と渡り合った実績や常人ならば触れただけで即死とされる妓夫太郎の毒を受けても死なない特性を持っているなど「痣」なしでも十分すぎるほどの強さを誇っていると言えます。
もし天元が「痣者」として覚醒していたら柱の中でも上位に入る強さを手に入れていたかも知れませんね。
計算能力
理由の2つ目は天元の真骨頂は緻密な計算能力にあることです。
元忍びである天元は直接的な戦闘能力よりも諜報や観察といった能力に秀でている可能性があります。
実際遊郭編では天元独自の戦闘計算式である「譜面」という能力が登場しました。
譜面は分析に時間がかかるものの敵の行動動作の律動を読み音に変換する能力であり相手の癖や死角を把握することができます。
唄に合いの手を入れるが如く音の隙間を攻撃すれば敵に打撃を与えられると解説されていました。
恵まれた体格と傲慢な性格から脳筋だけの人物に思われがちですが天元の本質は冷静な分析や優れた計算能力といった高い知能にあると言えるでしょう。
以上の2点から「痣者」ではない天元は戦闘能力では他の柱に劣りますが「譜面」のように戦況を分析する力や緻密な計算能力においては他の追随を許さないほど高い水準にあると考えられます。
2.天元と一緒に描かれたお墓
忍びの家系に生まれた天元の人生は過酷なものでした。
天元は遊郭編で
と語っています。
すべては天元の父親による厳しい訓練が原因のようで公式ファンブック・弐ではその詳細が記されています。
9人いた姉弟のうちの3人は過酷な修行によって年齢が一桁のうちにこの世を去りました。
そして残った6人は父親の命令によって兄弟同士で殺し合いをさせられています。
この際お互いの顔がわからないように覆面で頭と顔を隠されていたそうです。
つまり天元たちは相手が実の姉弟だとは知らされないまま肉親同士で殺し合っていたことになります。
天元がそのことに気づいたのはすでに2人を手にかけた後でした。
血を分けた姉弟を自らの手で殺してしまったことに激しくうろたえた天元はこの出来事がきっかけで忍びを抜けることになります。
天元の父親は一族の衰退を恐れるあまり取り憑かれたように厳しい鍛錬を我が子に強いていました。
天元が忍びの家系であると知った際に上弦の陸・堕姫は
嘘つくんじゃないわよ」
と反応しています。
明治時代に廃刀令が発令されるなど時代の変化によって忍びの存在意義が薄れていったことも天元の一族が衰退した理由の一つと言えるでしょう。
また天元の他にも2つ下の弟が兄弟同士の殺し合いを生き延びています。
しかし弟は自分が兄弟の命を奪ったことを知っても何も感じておらずついには天元にも刃を向けたとされています。
天元は弟について
妻は跡継ぎを産むためなら死んでもいい
本人の意思は尊重しない
ひたすら無機質」
と説明し父親と同じ考え同じ言動を持つ複写だとも言っています。
諜報や暗殺を生業にしていたとされる忍びですので天元の父親や弟のような機械的な考え方は理にかなっていたのかも知れません。
しかし天元にはそれが耐えられず
と感じるようになりました。
天元は忍びを抜ける際に「雛鶴・須磨・まきを」の3人の妻も連れ出しています。
天元の妻たちもくノ一つまり忍びでした。
天元の一族は一夫多妻制であり15歳になると親が決めた相手を妻として娶ります。
そのため本来はお互いに恋愛感情はなくただ子孫を残すことだけを目的とした関係だったと言えるでしょう。
しかし天元にとって3人の妻は最優先で守るべき大切な存在であり3人の妻もまたそんな天元を深く愛するようになりました。
公式ファンブック・弐ではそんな天元と3人の妻たちの関係性について記されています。
一族を抜けた天元は
というのが口癖でした。
これは父の策略にはまったとは言え実の兄弟を自らの手にかけてしまったことが原因と思われます。
自分を貶めるような発言を繰り返す天元を叱咤したのが3人の妻たちでした。
雛鶴に泣かれ、須磨に噛まれ、まきをに怒られた天元はやがて
とは言わなくなったそうです。
個性や人格を否定するような環境に育った天元にとって自分のために本気で怒り本気で泣いてくれる妻たちの存在はとても温かくかけがえのないものだったのではないでしょうか。
3人の妻の支えによって過去に縛られることなく前を向けるようになったと言える天元ですが自らが手にかけてしまった姉弟たちへの想いは鬼殺隊となっても変わらずに持ち続けていると思われます。
アニメ版遊郭編の序盤では天元が誰かのお墓の前に腰を下ろしている場面が描かれています。
このお墓は天元の亡くなった姉弟たちのものではないでしょうか。
遊郭編の直前に亡くなった炎柱・煉獄杏寿郎のお墓という可能性もありますがもし煉獄さんのお墓だとするならば産屋敷耀哉が毎日行っているという鬼殺隊のお墓ということになります。
しかし無限列車編の冒頭に描かれた鬼殺隊のお墓には多数の墓石が並んでおり卒塔婆も建てられています。
しかし天元が訪れているお墓は一つだけですし卒塔婆もありません。
煉獄家のお墓という可能性も考えられますがその場合も卒塔婆がないのは不自然と言えます。
卒塔婆とは亡くなった人の冥福を祈ってお墓に立てる木の板を指します。
煉獄系は代々炎の呼吸の使い手を輩出してきた歴史ある家系ですので卒塔婆が一つもないということはあり得ないのではないでしょうか。
つまり天元が訪れたお墓は煉獄さんのものではないと言えるでしょう。
仮に亡くなった姉弟たちのお墓だとするならば鬼殺隊ではありませんので墓石が一つでも不自然ではありません。
また天元の父親は人を人とも思わない無機質な人間でしたので卒塔婆がないことにも一応の納得がいきます。
さらに言えばわざわざ跡取りでもない人間のお墓を建てるとは思えませんので亡くなった姉弟たちのために天元が建てたお墓なのかも知れません。
また夕暮時に墓参りをしていることから任務に向かう前に訪れた可能性があります。
天元の回想では天元とその妻たちに対して産屋敷耀哉が
それでも前を向き戦ってくれるんだね
人の命を守るために」
と語り掛けています。
天元は鬼から人々を助けることでかつて自らの手で姉弟を殺めてしまった罪を償っていたのではないでしょうか。
以上の点から天元は忍びとして育った過去に苦悩しながらも3人の妻の支えによって前を向いて生きていけるようになり自らが手にかけてしまった姉弟の分まで人々を救おうと心に決めていたと考えられます。
3.煉獄杏寿郎への想い
天元が
といった真意について考察したいと思います。
これは上弦の陸・妓夫太郎の
特別な奴だったんだろうな
選ばれた才能だなぁ」
という発言を受けた天元が
と語った時の台詞でしたよね。
結論を述べると
結論
のではないでしょうか。
理由を述べていきます。
捉え方の違い
理由の一つ目は煉獄さんと天元とでは父親や一族に対する捉え方が異なる点です。
煉獄さんは代々炎の呼吸を受け継ぎ炎柱も多く輩出している煉獄家に生まれました。
煉獄さんの父・槇寿郎もかつては炎柱として活躍しており煉獄さんはそんな父親の背中を見て育っています。
煉獄さんにとって炎の呼吸の使い手とな父のような柱を目標とすることは当然のことだったと言えるでしょう。
煉獄さんにとって憧れの対象だった槇寿郎ですが最強の呼吸である「日の呼吸」への劣等感や瑠火の死をきっかけに酒に溺れ堕落していくことになります。
しかしそんな父の姿を見ても煉獄さんは決して夢をあきらめず変わらずに煉獄家の一員であり続けようとしましたよね。
また酒に溺れ
くだらん夢を見るな」
と自らの夢を否定されても煉獄さんは決して父親を見限ることはありませんでした。
という遺言からも煉獄さんがどれだけ槇寿郎を大切に思っていたのかが分かりますよね。
一方天元は
と考え父親や一族と袂を分かちました。
天元はまるで父親の生き写しのように無機質な人間になってしまった弟を見て
と感じたのではないでしょうか。
人格や個性を否定され自分という存在を抹消されることを恐れた天元は自分が自分であるために家を捨てたと考えられます。
そういった意味では父のような柱を目指し煉獄家の一員であり続けようとした煉獄さんとは正反対の道を選んだと言えるでしょう。
自分という存在を守るために一族を捨てた天元にとって一族に留まり続けることで自分であり続けた煉獄さんの存在は尊敬に値するものだったのかも知れません。
命の基準
理由の二つ目は煉獄さんと天元では守るべき命の基準が異なる点です。
煉獄さんは常に他人のために行動し当たり前のように一般市民を守るために戦っていました。
一見すると「柱」として当然のことのようにも思えますが
という煉獄さんの気概は他の柱と比べてみても別格ではないでしょうか。
事実、無限列車編では200名あまりもの乗客を当然のように守り抜き柱3人分とも言われる上弦の参・猗窩座の襲撃を受けた際にも負傷した炭治郎や乗客の命を守るために果敢に立ち向かいました。
こうした煉獄さんの言動の根底には亡き母・瑠火の教えがあると考えられます。
煉獄さんは幼い頃から
と言われて育ちました。
ここにいるものは誰も死なせない」
という台詞からも分かるように煉獄さんにとって守るべき命は皆平等だったと言えるでしょう。
一方天元は明確に守る命の優先順位を決めています。
忍びを抜け鬼殺隊に入った天元は3人の妻たちに
まずお前ら3人次に堅気の人間たち
そして俺だ」
と語っています。
天元のこうした言動の根底には人を人とも思わず一族の存続のためのたとえ肉親であろうと簡単に命を切り捨てていた父親への反発心があると思われます。
父親のようにはなりたくないと感じて家を出た天元ですので自らの家族つまり3人の妻たちだけは何としても守り抜きたいという思いが強いのかも知れません。
このように「柱」として人々の命を守る立場にありながらも煉獄さんと天元とでは守るべき命のの基準が明確に違うことが分かります。
以上の2点から
という台詞には自分とは異なる道を歩んだ煉獄さんへの尊敬の念と過去の経験から
という固い決意が込められていると考えられます。
とは言え上弦の陸である妓夫太郎や堕姫との戦いでは天元も煉獄さんと同じように自らが盾となることで炭治郎たちを守っています。
傲慢で不遜な態度が目立つ天元ですが鬼殺隊最強の「柱」としての矜持は決して煉獄さんに引けを取らないものだったといえるでしょう。
堕姫の中からより強力な鬼である妓夫太郎が登場した際その圧倒的な存在感から手が震えてしまった炭治郎ですが天元の
俺たち鬼殺隊は!」
という台詞をきっかけに失いかけていた戦意を取り戻しています。
優秀な俺の"継子"だ
テメェらの倒し方はすでに俺が看破した」
と言い放つ天元に炭治郎は煉獄さんの姿を重ねていました。
どんなに辛い状況でも挫けることなく周りを鼓舞し落ち込んだ雰囲気を払拭する天元の柱としての生き様は炭治郎の目には煉獄さんと同じくらい眩しく映ったのではないでしょうか。
まとめ
攻撃的な言動とは裏腹に内に秘めた優しさや面倒見のよさで炭治郎たちからの信頼が厚い宇髄天元。
肉親同士で殺し合うという壮絶な過去を経験し自分が自分であるために生まれ育った家を捨てた勇気ある人物といえるでしょう。
天元が見せた自分が一番大切にしているものを絶対に守り切るという固い決意は煉獄さんとはまた違った側面で「柱」という存在を炭治郎に知らしめたのではないでしょうか。
超絶美男子の宇髄天元が大好きすぎる!
天元の過去が悲しすぎた!
と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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